夫は「もう家族はダメか」と思った
外に出ると地面には瓦の破片が飛び散っていた。いつまた瓦が落ちるか分からない不安におびえながら、窓から必死に父親を助けた。父母と長女、重子さんが外に出たときには、隣接する車庫はまだ躯体が無事だった。すぐに逃げることができるようにクルマを出しておいた。この判断が奏功した。前震でダメージを受けていた車庫は、その後の大きな余震で倒壊したのだ。
外出先から家路を急いでいた夫と2人の息子は、道路から我が家を見て「家族はもうダメかもしれない」と絶望感に襲われたという。重子さんの判断で家族は全員無事だった。益城町は16日にM7.3の「本震」に襲われ、躯体を保っていた家屋も多くが倒壊した。
災害時の避難先を家族で決める際、家族が集合する公園などを話し合うことが多いのではないだろうか。その際に、「我が家からどうやって脱出するか」を改めて検証しておくことも重要だ。懐中電灯や靴の置き場所や家具の配置など、平時に考えておくべき防災対策はある。大きな地震の直後は、あらゆるものが障害物となり得ることが、改めて明らかになった。