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 熊本地震によって被害を受けた住宅は、熊本市で全壊・半壊が1万3372棟、一部破損が6481棟、益城町で全壊が1026棟、半壊・一部破損が4374棟、熊本県全体で被害分類未確定分を含めて3万1613棟に上る(4月28日13時30分時点の熊本県発表)。現時点でまだ調査中の市町村が複数あることから、今後、被災住宅の数は増える可能性がある。

 地震発生から2週間がたち、被災地の市町村では応急危険度判定が本格化している。応急危険度判定は、余震による建物の倒壊などから人命にかかる二次的災害を防止するために行う。「調査済(緑色)」「要注意(黄色)」「危険(赤色)」の判定ステッカーを建物の見やすい場所に表示する。

 応急危険度判定は、罹災証明のための調査や、被災建築物の恒久的使用の可否を判定するものではない。瓦や外壁が落下する恐れがあるなど、あくまで緊急的な二次的災害の防止が目的なので、「危険(赤色)」と表示された建物であっても居住できるケースはある。(関連記事:応急危険度判定と罹災証明とは?

4月22日時点の益城町。右側に応急危険度判定の「危険(赤色)」、左側に被災宅地危険度判定の「調査済宅地(青色)」の判定ステッカーがそれぞれ表示されている。被災宅地危険度判定は、宅地の二次災害の危険度を判定するもの(写真:日経ホームビルダー)
4月22日時点の益城町。右側に応急危険度判定の「危険(赤色)」、左側に被災宅地危険度判定の「調査済宅地(青色)」の判定ステッカーがそれぞれ表示されている。被災宅地危険度判定は、宅地の二次災害の危険度を判定するもの(写真:日経ホームビルダー)
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民間の建築士が復旧の要否を判定

 応急危険度判定の次の段階として、「被災度区分判定」がある。被災建築物の恒久的使用の可否(構造的に安全か、改修は必要かなど)について、民間の建築士が判定するものだ。

 地震で被災した建築物の内部に立ち入り、沈下や傾斜、構造躯体の損傷状況などを調査する。そして、被災の程度を軽微、小破、中破、大破などと区分するとともに、復旧の要否を判定する。

 被災した建物を適切に復旧できれば、住民が旧来の住宅に住み続けることが可能となる。地域コミュニティーの存続にもつながる。行政にとって、仮設住宅の建設や廃材処理などの負担も軽減できる。詳細は、日本建築防災協会のホームページ「震災復旧のための震災建築物の被災度区分判定・復旧体制」を参照。

 応急危険度判定と被災度区分判定の関係については、熊本県のホームページでも解説している。

熊本県のホームページでも、応急危険度判定と被災度区分判定について解説している(画面:熊本県)
熊本県のホームページでも、応急危険度判定と被災度区分判定について解説している(画面:熊本県)
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 被災度区分判定を担う建築士事務所「被災度区分判定・復旧技術事務所」は、2016年4月20日時点で全国に4890社ある。熊本県にも108社ある。

 日本建築防災協会は、「震災建築物の被災度区分判定基準および復旧技術指針」を発行している。地震で被災した建築物について、復旧前の一時的な継続使用、復旧後の長期使用のための補修・補強などの要否を判定する被災度区分判定の基準、そして復旧技術の指針を示した震後対策の基本書だ。2015年に改訂し、「鉄筋および鉄骨鉄筋コンクリート造建築物」「鉄骨造建築物」「木造建築物」の構造別に3分冊を用意する。

<追加情報>
日本建築士事務所協会連合会は4月28日、「『2015年改訂版 再使用の可能性を判定し、復旧するための震災建築物の被災度区分判定基準および復旧技術指針講習会』開催のお知らせ」をホームページで公表した。開催地や詳細については、各都道府県の建築士事務所協会に問い合わせてほしい。熊本県建築士事務所協会では、今回の熊本地震を受けて5月18日に講習会を開催する。(2016年5月3日12時30分)