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 熊本地震では、自然災害で住宅ローンなどの弁済が困難になった被災者が債務整理を行いやすくする制度が初めて適用される。債務整理後も信用情報が毀損しないので新たに住宅ローンを借りることができ、「二重ローン救済策」とも言われる制度だ。ただし、十分な資力のある被災者には適用されず、破産手続における「支払不能」または恐れのある場合に限られるので注意が必要だ。

 初適用になるのは、4月に始まった「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」だ。全国銀行協会が中心になって昨年12月に作成した。この手続きを使えば、被災者は2000年に施行された「特定調停法」に基づく債務整理を行いやすくなる。破産法や民事再生法などに基づく法的倒産手続と違って、債務整理終了後も信用情報が毀損しないため、新たに住宅ローンを借りることも可能となる。工務店やビルダーにとっては、被災者の生活再建のために上手な活用方法をアドバイスしていくことが信頼獲得につながりそうだ。

 自然災害で自宅が被災して貸家を借りたり、仕事が続けられなくなって収入が途絶えたりして既存の住宅ローンの返済が困難になった場合、まずは金融機関に支払い猶予や返済条件の変更などを相談して弁済継続の可能性を探る。そのうえで被災者生活再建支援金や、死亡や重度障害で支給される災害弔慰金・障害見舞金のほか、地震保険の保険金や新規の住宅ローンなどを使って生活再建の基盤となる住宅の取得が可能かどうかを検討することになる。

 しかし、こうした方法が困難な場合、既存債務をいったん整理(免除)する手続きを取る。これには自己破産や会社倒産などの法的整理と、民事調停などの私的整理があるが、個人や個人事業主でも民事調停を利用しやすくするために制定されたのが特定調停法だ。その手続きは事案によって異なり複雑なため、とくに活用が見込まれる事案については個別にガイドラインを策定して利用者の便宜を図っている。