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 2000年以降に建った住宅のうち、倒壊・全壊したものは最少10、最多17棟――。日本建築学会は5月14日、熊本地震の被害調査速報会のなかで、熊本県益城町の約2640棟を対象に同学会が実施した悉皆調査(全数調査)の速報値として発表した。朝日新聞が5月10日付で同学会の調査で2000年以降に建てられた木造家屋について「全壊が51棟」と報じたことを受けて、これを訂正した。

日本建築学会が開催した「2016年熊本地震」地震被害調査速報会(写真:日経ホームビルダー)
日本建築学会が開催した「2016年熊本地震」地震被害調査速報会(写真:日経ホームビルダー)
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 同学会は、5月3日~8日にかけて悉皆調査を実施し、現在その結果を集計・精査している。対象地域は、益城町役場周辺の建物被害が大きかったエリアだ。同学会によると、朝日新聞が報じた「全壊が51棟」という数字は、再調査が必要な建物をピックアップした数字であり、現在も再調査や詳細な確認作業を実施している。

 発表会までに確認できた棟数として、少なくとも10棟、最多で17棟になる可能性があるとした。最多には現在確認中の数が含まれている。調査範囲内には2000年以降の建物が400~500棟程度あることも公表した。

 悉皆調査では、倒壊と全壊を分けて集計している。倒壊は、確定が4棟で可能性があるものが5棟あり、最大9棟。全壊は、確定が6棟で可能性があるものが2棟あり、最大8棟になる。倒壊は生存空間がなくなるほどつぶれたもの、全壊は建物が大きく傾いて構造体に大きな被害が生じているものだ。

 木造住宅の被害分析は、京都大学生存圏研究所の五十田博教授が発表した。五十田教授によると、今回、益城町で観測された地震動は、建築基準法の耐震設計が想定する地震動にかなり近いもので、倒壊に至るか至らないかのぎりぎりのレベルだという。そのうえで、「建築基準法は大地震でも倒壊しないという最低限の基準であり、一般の人々が期待している耐震レベルとは大きな隔たりがあるように感じる。この溝をなくさないと、今回のような被害が繰り返され、建築基準法を変えないといけないという議論が繰り返されるのではないかと心配している」と語った。