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 ETFE(熱可塑性フッ素樹脂)フィルムを屋根の構造材として大規模に使った国内初の建築の建設が進んでいる。2020年東京五輪の選手村のすぐ近くに、2016年12月オープン予定の「新豊洲Brilliaランニングスタジアム」(東京都江東区)だ。障害者アスリートのための短距離走トラックや、競技用義足の開発を行うラボラトリーを備えた複合トレーニングセンターとなる。発注者は、東京ガス用地開発と東京建物、太陽工業の3社。

 アーチ形状の木製フレームを並べてETFEフィルムを張ったトンネル状の建物で、長さは108mに及ぶ。延べ面積は1985m2だ。

新豊洲Brilliaランニングスタジアムは、幅16.27m、高さ8.5mの断面が108mにわたって続く。長さ60mの短距離走トラックを備える。アーチ架構には長野県産のカラマツを使用。国土交通省の 「サステナブル建築物先導事業」にも採択されている(資料:E.P.A環境変換装置建築研究所)
新豊洲Brilliaランニングスタジアムは、幅16.27m、高さ8.5mの断面が108mにわたって続く。長さ60mの短距離走トラックを備える。アーチ架構には長野県産のカラマツを使用。国土交通省の 「サステナブル建築物先導事業」にも採択されている(資料:E.P.A環境変換装置建築研究所)
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 設計を手掛けたのは、武松幸治氏が代表を務めるE.P.A 環境変換装置建築研究所(東京都目黒区)だ。トラックを覆う細長い空間を、柱を立てずに最小限の部材で構成するため、空気膜でスパンを飛ばすことができるETFEフィルムを使うことにした。軽いので安全性も高い。

 「透明なETFEフィルムを通して室内に自然光を取り入れ、消費エネルギーを抑えつつ開放的な空間をつくる。屋根を構成する木造部分を先進的に見せる意図もある」と武松代表は話す。

 ETFEフィルムで膜構造建築をつくるには、防火上と構造上の規定をいかにクリアするかが課題となる。新豊洲Brilliaランニングスタジアムでの工夫は以下の通りだ。