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 住宅の新築時に生活排水処理槽を埋設しておき、震災時に公共下水道から切り替えて使用できる仕組みは、自治体から事前の許可を受ければ下水道法に違反しない――。経済産業省は8月4日、災害時の生活排水処理槽を備えた住宅に対して、下水道法において曖昧だった法の解釈を明確にした。

 今後、生活排水処理槽を備えた災害対応の住宅が建てやすくなる。

災害時に排水処理の対応を考慮した住宅の仕組み例(資料:経済産業省)
災害時に排水処理の対応を考慮した住宅の仕組み例(資料:経済産業省)
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排水設備設置義務の違反に当たるか否か

 今回の発表は、産業競争力強化法に基づくグレーゾーン解消制度を利用して、事業者が経済産業省に照会した内容に答えたものだ。経済産業大臣から国土交通大臣を介して規制適用の有無などを確認した。

 対象となったのは、下水道法第10条第1項の解釈だ。

 きっかけは、照会を求めた事業者が開発した災害対応の住宅だ。新築時に災害時用の生活排水処理槽を埋設。通常は雨水貯留槽として使用するが、震災時には公共下水道から切り替えて使う。住宅からの排水をフレキシブル管で公共下水道に接続しておき、災害時には、フレキシブル管を処理槽につなぎ直す仕組みだ。

 この仕組みであれば、災害時に公共下水道が使えなくなっても、それぞれの住宅で下水を処理できる。

 この排水先を切り替える仕組みの法的解釈が問題となった。下水道法第10条第1項では「その土地の下水を公共下水道に流入させるために必要な排水管、排水渠その他の排水施設(排水設備)を設置しなければならない」と定められている。そのため、切り替えて使用できるようにしておくと、「公共下水道に接続する排水設備に当てはまらなくなり、設置義務違反になるのではないか」というものだ。

 その一方で、同じく法第10条第1項には、「ただし、特別の事情により公共下水道管理者の許可を受けた場合その他政令で定める場合においては、この限りでない」と書かれていることに事業者は注目。災害時に利用することを事前に許可を受ければ、違反に当たらないという解釈もできると考えた。

 違反か否かのどちらとも解釈ができる曖昧な状況について、グレーゾーン解消制度を利用して明らかにすることを求めた。

要件を満たせば問題なし

 照会に対する回答は、各自治体の公共下水道管理者が求める要件を満たしたうえで事前に許可を得ていれば違反に当たらないというものだった。

 通常、公共下水道から一時的に排水管を切り離すと、下水道法で求められる公共下水道に接続する排水設備の設置義務が満たせなくなる。災害時に生活排水処理槽に排水管を切り替えるのは、このような状態に当たる。ただし、そのような場合でも要件を満たしたうえで事前に許可を得ておけば、下水道法第10条第1項のただし書きにある排水設備設置義務の免除に当てはまるという解釈ができるため、設置義務違反には当たらなくなるというわけだ。

 なお、具体的な許可の内容については公共下水道管理者の判断に委ねられている。災害時に下水処理の対応も可能な住宅を建てる場合は、公共下水道管理者に確認しておきたい。