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 「2014年12月に消費者庁の消費者安全調査委員会がまとめた報告書の内容を知見として利用できることは、健康被害を訴える人の主張が認められる助けになる」。こう説明するのは、エコキュート(ヒートポンプ式給湯機)から発生する低周波音を巡る訴訟で原告代理人を務めている弁護士の井坂和広さんだ。

 エコキュートの運転音などが健康に及ぼす影響について調査した同報告書では、運転音が健康被害に関係している可能性を指摘。そのリスクを低減し、より根本的な再発防止策の検討と発症時の対応の改善を進めるため、経済産業省、環境省、消費者庁、公害等調整委員会に対策を求めた。井坂さんがエコキュートの低周波音の健康被害に関する訴訟を手掛けるのは今回で5件目だが、同報告書が出てからは初めてだ。

 訴訟は、隣家のエコキュートから発生する低周波音で健康被害を受けたとして、埼玉県所沢市の60歳代の夫妻がエコキュートを製造したパナソニックと住宅を施工した桧家住宅、隣家の住人を相手取り、8月18日にさいたま地裁川越支部に提訴したものだ。

 2社には慰謝料など総額184万8000円に加えて判決確定まで1人1日当たり4000円の賠償額を連帯して支払うことを求め、隣家の住人にはエコキュートの使用差し止めを求めている。

 井坂さんによると、隣家は14年12月中旬に完成し、建て主は同月末に入居。原告の夫妻は15年1月20日ごろからエコキュートの低周波音を感じるようになり、以来、不眠や吐き気、目まい、頭痛などの症状が続いている。これらの症状が原告に生じたことは、それ以前にはなかった。

現場の概略図。訴状の資料に基づいて日経ホームビルダーが作成
現場の概略図。訴状の資料に基づいて日経ホームビルダーが作成
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 「原告の寝室と隣家のエコキュートは2mほどしか離れておらず、低周波音の測定結果は問題のあることを示している」(井坂さん)。原告は専門会社に依頼して低周波音の大きさを測定。参照する欧州2カ国の法定基準を超える値であることを確認した。