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 東京都墨田区亀沢に「すみだ北斎美術館」が11月22日にオープンした。両国駅から徒歩数分、江戸時代には本所割(ほんじょわり)下水と呼ぶ排水路があった「北斎通り」沿いの緑町公園内に位置している。墨田区が構想を始めてから20数年を経て、開館にこぎ着けた。

「すみだ北斎美術館」の北側全景。建築設計者は妹島和世建築設計事務所で、建築の施工を大林組・東武谷内田建設JVが担当した(写真:すみだ北斎美術館)
「すみだ北斎美術館」の北側全景。建築設計者は妹島和世建築設計事務所で、建築の施工を大林組・東武谷内田建設JVが担当した(写真:すみだ北斎美術館)
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 葛飾北斎(1760~1849年)は、「冨嶽三十六景」などで国際的に評価の高い江戸後期の浮世絵師。建設場所は、北斎が生を受け約90年の生涯を通して多くの作品を描いたゆかりの地だ。建築設計は、妹島和世建築設計事務所が手掛けた。建物は鉄筋コンクリート造、一部鉄骨造で、地下1階・地上4階建て。延べ面積は3279m2で、総工費は約34億5000万円(展示製作費含む)だ。

 2009年、郷土の偉人を地域のシンボルとすることで観光などの地域産業に貢献し、情報発信の場とすることを目的に墨田区はプロポーザルを実施。約180者の中から、妹島和世建築設計事務所が最優秀者に選ばれた。周辺への開放性、建物のスケールなど街との調和が評価を受けた。

1階の通路部分を見る(写真:安川 千秋)
1階の通路部分を見る(写真:安川 千秋)
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 デザインの特徴は、小さな建物が寄り添うような構成としたこと。アルミパネルで覆われた壁面は垂直、水平方向ともに角度を持たせることで分節し、周辺の敷地割や建物のスケールになじませた。空や樹木を映し出す外壁の表情は時間や季節によって変化する。

 1階には、くさび形をしたスリット状の開口を4方向に設けた。開口の内部には路地のような通路が続き、エントランスや図書室、講座室、搬出入室の4つのボリュームを生み出している。道行く人を内部に引き込み、美術館内の活動を見せることで親しみを持ってもらうためのしつらえだ。