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岐阜市の「みんなの森 ぎふメディアコスモス」は2015年7月に開館。設計・監理者は伊東豊雄建築設計事務所、施工者は戸田建設(写真:日経アーキテクチュア)
岐阜市の「みんなの森 ぎふメディアコスモス」は2015年7月に開館。設計・監理者は伊東豊雄建築設計事務所、施工者は戸田建設(写真:日経アーキテクチュア)
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(関連記事:漏水トラブル続くぎふメディアコスモス

 岐阜市の図書館複合施設「みんなの森 ぎふメディアコスモス」では、開館前の2015年4月から17年10月まで2年半の間に、通算で30回の漏水が発生した。「設計者と施工者による直接の説明が必要」との市議会の決定を受け、市は11月16日に設計・監理者を務めた伊東豊雄建築設計事務所と、施工者の戸田建設による共同会見をメディアコスモス館内で開催した。

2階で漏水が発生した位置を示すプロット図。2015年から30回の漏水が発生した。17年10月に発生した2回については、まだ原因が特定できていない(資料:戸田建設)
2階で漏水が発生した位置を示すプロット図。2015年から30回の漏水が発生した。17年10月に発生した2回については、まだ原因が特定できていない(資料:戸田建設)
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 メディアコスモスの瑕疵担保期間は19年2月までの4年間だ。この期間が、市と設計者、施工者の間で争点となっている。民法637条では瑕疵担保期間1年だが、強行法規ではないため、期間は契約で定めることができる。市の標準契約約款44条によると、建築主体工事の請負契約での瑕疵担保期間は、「コンクリート造等の建築等又は土木工作物等にあっては、引き渡しの日から4年」となる。

 共同会見に出席した設計者と施工者は、19年2月までとなる瑕疵担保期間内に不具合に対処するとの姿勢を示す。伊東事務所の東建男取締役は「初期不良はどんな建物でも起こり得る。1つひとつ直すことで建物の健全性が生まれる。不良部分は瑕疵担保期間内に直しきる」と説明した。

11月16日の会見に出席した伊東豊雄建築設計事務所の東建男取締役(中央)。瑕疵担保期間の2019年2月までに問題を解決すると説明(写真:日経アーキテクチュア)
11月16日の会見に出席した伊東豊雄建築設計事務所の東建男取締役(中央)。瑕疵担保期間の2019年2月までに問題を解決すると説明(写真:日経アーキテクチュア)
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 戸田建設名古屋支店の曽根原努・建築施工担当支店次長は、「既に対策を施した不具合については、瑕疵担保の期間は経過観察を継続する。期限間際で不具合が発生した場合は、4年経過した後も原因を調査して岐阜市や設計者と対応していく」と話した。

戸田建設名古屋支店の曽根原努・建築施工担当支店次長(左)。「瑕疵担保期間の期限間際で不具合が発生した場合は、4年経過した後も対応する」と話す(写真:日経アーキテクチュア)
戸田建設名古屋支店の曽根原努・建築施工担当支店次長(左)。「瑕疵担保期間の期限間際で不具合が発生した場合は、4年経過した後も対応する」と話す(写真:日経アーキテクチュア)
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 しかし、施設を運営する市は、これまでの設計者と施工者の説明に納得していない様子だ。市は16年10月に瑕疵担保期間の延長を求める書面を設計者と施工者に送っている。メディアコスモスの大塚直哉館長は、「市の標準契約約款44条では『瑕疵が受注者の故意または重大な過失により生じた場合には、請求を行うことのできる期間は10年とする』とのただし書きがある」と話す。

 市は「重大な過失」として「雨漏り」が該当すると主張する。戸田建設は3月に発生した2回の漏水について、「雨漏りを原因とする可能性を排除できない」として施工不良を認めている。共同会見では10月に理由不明の漏水が2回発生したと発表しており、曽根原支店次長は「今後もいろいろな事態が発生する可能性がある」と述べている。