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 1997年の河川法大改正で法律の目的に「環境」が位置付けられ、河川行政の在り方が大きく変わりました。それから20年。国土交通省が設立した「河川法改正20年 多自然川づくり推進委員会」が今年5月、提言案を出しました。「多自然川づくり」という名前から河川の環境に関する提言と思いがちですが、読み込んでいくと、環境以外の分野にも大きな影響がありそうです。

 これに限らず、最近は防災や街づくりなどの面でも、河川事業を巡る動きがにわかに盛んになってきました。日経コンストラクション6月12日号では、特集「河川法改正 20年目の挑戦」を企画し、節目を迎えた河川行政の今後と、それに伴って土木の仕事がどのように変化するのか、まとめてみました。

日経コンストラクション2017年6月12日号特集「河川法改正 20年目の挑戦」から
日経コンストラクション2017年6月12日号特集「河川法改正 20年目の挑戦」から
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 先ほどの提言案ですが、例えば多自然川づくりに関する環境調査の手法や、河川整備計画を実施に移すための事業の進め方などについて、より実効性の高いものに変えていくことを求めています。これまで、見栄え重視だったり、単に他の計画の“コピペ”だったりした事業が目に付いた反省から、改めて原点に帰ろうという考え方です。また、生物の生息環境や河床形態などを平面図に落とし込んだ「河川環境情報図」を、調査から維持管理に至る各段階で、さらに活用するよう促しています。これは、土木工事を担う建設会社にとっては、施工の際に生物への配慮がこれまで以上に求められることになる内容です。

 他方、台風や豪雨による水災害の頻発を受け、防災面での取り組みも緊急性を増しています。昨年の北海道・東北豪雨では、岩手県岩泉町を流れる二級河川の小本川が氾濫し、高齢者グループホームの入所者9人が犠牲になりました。都道府県が管理する中小河川の中には、水位観測や河川測量さえも十分にできず、災害への備えが遅れているところが少なくありません。

 国交省は今年1月、こうした中小河川で水位観測体制を整えるための「仕掛け」を実施しました。「クラウド型・メンテナンスフリー水位計」と呼ぶ比較的安価で観測できる水位計の開発を対象に、技術を持つ企業を集めたピッチイベント(企業間お見合い)を開催したのです。水位の計測機器を開発する建設コンサルタント会社やメーカーと、情報処理・通信の技術を持つソフトウエアやIT(情報技術)関連のベンダーが一堂に会し、新たな技術を生み出そうという試みで、最終的に21者が12のチームを組んで開発に着手しました。

 河川とは無縁だった建設分野以外の企業も、社会の変化を捉え、河川に熱い視線を注いでいることが分かります。もはや、「河川=環境」ではありません。社会のニーズが変われば事業の進め方も変わり、これまで縁遠かったプレーヤーにも新たな仕事のチャンスが生まれているのです。