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 1月30日、東京電力は福島第一原子力発電所2号機の原子炉格納容器内の撮影に初めて成功し、溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の可能性がある堆積物を確認しました。東日本大震災から間もなく丸6年を迎えるタイミングで、ようやく廃炉に向けて一歩踏み出しました。

 ここに至るまで、福島第一原発では毎日6000~7000人が働き、廃炉に向けた作業を積み重ねてきました。被災地の多くでインフラ整備が終盤を迎えつつあるなか、今、これだけの規模で動いている現場はほかにありません。日経コンストラクションでは2月27日号で特集「図解・福島第一原発」を企画し、注目の現場を分かりやすく解き明かします。

日経コンストラクション2017年2月27日号特集「図解・福島第一原発」から
日経コンストラクション2017年2月27日号特集「図解・福島第一原発」から
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 とにかく「失敗が許されない」現場です。現場の巨大さばかりに目を奪われがちですが、技術者がこれまで培ってきた知恵を生かしながら、確実な施工に向けて地道な工夫を繰り出しています。その代表例が、清水建設が施工した「フェーシング」と呼ぶ工事です。

 福島第一原発を訪れると、法面は一様にモルタルで被覆されています。雨水が地中に浸透して原子炉建屋内に流入するのを防いだり、敷地内の放射線量を下げたりする目的ですが、この吹き付けがフェーシングです。法面にモルタルを吹き付けるだけの単純な作業のはずですが、現場では想像以上の困難が待ち受けていました。

 放射線量が高いので、除草や伐採、モルタル吹き付けは可能な限り機械化しました。人力でやるより効率は高まるものの、機械化しても苦労がつきまとったと言います。例えば、表土の除去に用いたロッククライミングマシーン工法。通常、立木からワイヤで重機をぶら下げて法面を掘削しますが、現場には立木がなく、別の重機を据えて立木の代用に。凍土遮水壁の工事などと干渉するので法尻にダンプを乗り付けられず、ベッセルに積み込んで法面の上に土砂を排出する――。

 こうした細かい工夫を積み上げ、2年余りで工事はほぼ終わりました。フェーシングのお陰で現場の放射線量は大きく下がり、敷地の大半のエリアを簡易マスクと通常の作業服で動き回れるようになりました。派手さのない工事ですが、巨大現場を下支えする非常に重要な工事だったと言えるでしょう。

 今号では、篠山紀信氏が現場を撮る「現場紀信」も掲載しました。篠山氏は福島第一原発に2度にわたって赴き、そこで働く人々の表情を撮影しています。通常の報道写真とは違った角度から捉えた現場の様子を、ぜひ本誌でご覧ください。