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 技術の伝承の難しさについて、日経コンストラクションではここ数年、何度か取り上げてきました。団塊世代の一斉退職という全産業に共通する課題に加え、若年層の不足や現場への配置人数の削減といった建設産業特有の事情もあり、伝承に悩んでいるという声をあちこちで耳にしました。

 最近は、一時に比べれば技術伝承が話題に上ることが少なくなった気がしますが、問題が解決したわけではなく、目新しい問題ではなくなっただけなのではないでしょうか。特に最近の「特需」で、各社とも若手を獲得しようと躍起になっています。中間層と呼べる社員が少ないなか、ベテランが20歳代~30歳代前半の若手に伝えなければならないことは、まだまだ残っています。

 日経コンストラクションでは8月10日号で、特集「若手に贈る知恵」を企画しました。7人のベテラン技術者が、仕事をしていくうえで大切な考え方について「現場をうまく回すコツ」、「技術力の磨き方」といったテーマで若手に向けて語ります。

日経コンストラクション2015年8月10日号特集「若手に贈る知恵」から
日経コンストラクション2015年8月10日号特集「若手に贈る知恵」から
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 例えば、鹿島の東京外環地中拡幅準備事務所所長を務める須田久美子氏。女性技術者のパイオニアの一人として、女性技術者の未来像について語ってもらいました。須田氏は、「女も男も関係ない」と思いながら仕事をしつつ、現場周辺の住民とのやりとりや学校のPTA活動などを通じて、女性としての目線が仕事に役立つと実感したこともあると言います。こうした気付きは女性技術者だけでなく、全ての人の「多様な働き方」の実現にも役立つ考え方だと思います。

 特集記事は若手読者に向けたメッセージなので、もちろん若手の方に読んでいただきたい。一方で、ベテランの方にも読んでほしいのです。ベテランの語りに共感されるところもあれば、「いやいや、自分ならこんなことを伝える」とお考えの方もいらっしゃるでしょう。もしかしたら、「自分には、若手に伝えるべきことがあるのだろうか」と自問される方もいるかもしれません。

 多くの経験をしているベテランだからこそ、伝えられることはあるはず。しかし、それを言葉や文章にして伝えるのは、意外と難しいものです。自分は若手に何を伝えるべきなのか、もっと言えば、自分は何を伝承できるのか。次世代の担い手を育てるために、改めて考えるきっかけにしていただければありがたく思います。