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 仕事をしていくうえで、ミスは付きもの。まずは、起きてしまったミスをカバーすることが重要ですが、「のど元過ぎれば・・・」では意味がありません。簡単なことではありませんが、ミスから得た教訓を、次のミスを防ぐ糧にすることが重要です。

 日経コンストラクション9月28日号では、特集「痛恨のエラー」を掲載しました。「たった一つのミスが大きな損害を生んでしまった」。そんな事例から、次に生かせる教訓を読み取っていただこうという企画です。

日経コンストラクション2015年9月28日号特集「痛恨のエラー」から
日経コンストラクション2015年9月28日号特集「痛恨のエラー」から
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 特集記事の冒頭で取り上げたのが、高知県本山町の土佐本山橋で発覚した橋脚のコンクリートの強度不足です。6月22日配信のケンプラッツの記事でも第一報をお伝えしましたが、それを再取材して深掘りしました。

 簡単に言えば、施工者が雨の中で橋脚底版部のコンクリート打設を強行したところ、結果的に強度不足の箇所が見つかったというものです。発覚したのは、発注者である本山町の職員が雨中のコンクリート打設の状況を目撃していたからでした。目撃した時点では捨てコンクリートの打設だと思い込み、その場では打設中止を指示しませんでしたが、翌日、捨てコンではなく底版コンクリートだということが判明。コア抜き試験などを実施したところ、強度不足が明らかになったというわけです。

 経緯の詳細については特集記事をご覧いただきたいのですが、ここで注目すべきは、本山町の職員がなぜ打設の現場を目撃したのか、という点です。偶然通りかかったわけではありません。町は、強い降雨があった場合、雨中でコンクリートを打設している可能性がある現場を巡回することにしていたのです。

 同町では2013年に、別の建設会社が施工した簡易水道施設のろ過池で、コンクリートの強度不足が発生。雨中でのコンクリート打設が影響したと考えられています。それを教訓に、雨の日の現場巡回を始めたというわけです。

 本山町は人口3600人ほどの小さな町で、建設担当の職員はわずか3人。それでも、品質確保に強い意志を持って取り組んでいました。ミスを完全に防ぐことはできず、強度不足で橋脚の造り直しという事態にはなりましたが、見逃して工事が進んでしまったら、将来はもっと大変な事態になっていたかもしれません。

 ミスを防ぐための取り組みというと、ミスのデータベースを作ってイントラネットで共有して・・・といった大掛かりなものが思い浮かびますが、どんな組織でもできるものではありません。本山町の事例は、意識とやる気さえあれば小さい組織で実効性のある取り組みが可能になるという、良い見本なのではないでしょうか。