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 担い手確保に向けて躍起になっている建設産業ですが、就職希望者にとっての「売り手市場」である今、他産業との若者の取り合いが激しくなっています。待遇や労働環境の面で他産業に後れを取りがちな建設業界は旗色が良くなく、高校や大学で土木を学んだ生徒や学生も、その多くが他産業への就職を選んでいます。

 建設産業のいいところも悪いところも分かったうえで他産業に進むのは、仕方ないことかもしれません。しかし、せっかく土木を学んだ若者が、建設の仕事の面白さを知らないまま去って行くとすれば、もったいないことだと思います。

 建設産業に限らない話ですが、一部の職種を除けば授業で学ぶ内容が仕事に直結しないのは当たり前とも言えます。そこで最近の教育現場では、生徒や学生に仕事の面白さを伝え、将来の仕事内容をイメージしてもらいやすくする工夫を採り入れています。

 日経コンストラクション12月14日号では、建設産業の担い手確保に向けた取り組みをまとめた特集「地域で挑む担い手づくり」を企画しました。焦点を当てたのは、地域の担い手確保に重要な役割を占める工業高校です。高校と建設産業、地元の大学、自治体などがタッグを組み、地域の建設業を担う人材確保に知恵を絞っています。

日経コンストラクション2015年12月14日号特集「地域で挑む担い手づくり」から
日経コンストラクション2015年12月14日号特集「地域で挑む担い手づくり」から
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 例えば、兵庫県加古川市にある兵庫県立東播工業高校は、兵庫県建設業協会と連携し、今年度から「通年型」のインターンシップを開始しました。インターンシップ自体は珍しくありませんが、その中身は様々です。短期間のものでも仕事の雰囲気は味わえますが、生徒や学生は“お客さん”になってしまいがちです。現場見学とさほど変わらないケースもあるでしょう。

 東播工業高校のインターンシップの特徴は、2年生全員が定期的に、特定の現場に工事の完成まで通うところ。測量やコンクリート打設などの実際の作業を体験しながら、構造物が出来上がっていく達成感も得られるというわけです。測量などに使う機器も、学校ではそろえられない最新式のもので、これも若者が興味を持つきっかけになります。この例を含め特集記事で紹介した四つのケースではいずれも、このような「プロ目線」を体験してもらうことで、生徒を引き付けています。

 ケンプラッツでは先日、「3年以内の高卒離職率が5割に」という記事を掲載しました。原因は待遇や職場環境などいろいろあると思われますが、その一つは「自分が思い描いていた仕事の内容と違った」という点ではないでしょうか。限られた期間でも、プロ目線で現場に立つことができれば、こうしたミスマッチを少しでも解消できると期待します。