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 国土交通省は、コンクリート工の生産性を高めるため、内空断面積が40m2以下のボックスカルバートと壁高5m以下のL字形擁壁で、プレキャスト製品を採用する方針を固めた。近く詳細を固め、各地方整備局などに通知する。

現場打ちコンクリートとプレキャスト製品のコスト比較の方法(資料:国土交通省)
現場打ちコンクリートとプレキャスト製品のコスト比較の方法(資料:国土交通省)
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 国交省はコンクリート工に関して、i-Constructionの一環で生産性を高める工法・技術の導入や規格の標準化を進めている。10月10日に開いたコンクリート生産性向上検討協議会で、プレキャスト製品の採用拡大の方針を報告した。

 積算時のコスト比較の方法も見直した。構造物の概略を決める予備設計の段階で、従来は現場打ちコンクリートとプレキャスト製品を直接工事費だけで比較してきた。そのためプレキャスト製品は、冬季の養生に使用する雪寒仮囲いが不要になるなどの利点が加味されず、小型の製品でなければコスト比較で優位に立つことができなかった。

 そこで、雪寒仮囲いや土留めなどの仮設費や交通規制に要する警備員の費用も加えるよう比較方法を見直した。

 さらに、国交省は現場の生産性向上の観点から、この比較方法に基づいたプレキャスト製品のコストが現場打ちの1.1倍程度であれば、プレキャストの採用を許容する。

 協議会では、ボックスカルバートで内空断面積40m2以下、L字形擁壁で壁高5m以下ならば許容範囲に収まるとの試算結果を示した。近く発する通知では、この値を盛り込む予定だ。

 内空断面積が40m2を上回るボックスカルバートや橋の上下部工などの大型のプレキャスト製品については、コスト比較の方法を引き続き検討する。仮設費などに加え、工期短縮効果やライフサイクルコストも考慮した比較方法を探る。これらも今年度内に、プレキャスト採用の目安となる数値基準を設定して通知する考えだ。