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 座談会第8回に登場するのは、以下の5人(五十音順)。石田哲也・東京大学大学院工学系研究科教授(聞き手)、河野広隆・京都大学大学院工学研究科教授、佐藤和徳・日本大学工学部教授(元国土交通省東北地方整備局地方事業評価管理官)、田村隆弘・徳山工業高等専門学校土木建築工学科教授、細田暁・横浜国立大学大学院都市イノベーション研究院准教授。

田村隆弘・徳山工業高等専門学校土木建築工学科教授(写真:横浜国立大学)
田村隆弘・徳山工業高等専門学校土木建築工学科教授(写真:横浜国立大学)
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田村:発注者、いわゆるインハウスエンジニアと呼ばれる人たちが本当にエンジニアリングをしているかどうかが大きなポイントです。山口県でも東北地方でも、若い技術者や発注者の人たちは生き生きしているというか、良いものを造ってやろうという気持ちで、すごく勉強しているなという感じを受けました。8つもの指針類を作成できたのは、もちろん佐藤さんを中心とした熱意の結果だと思いますが、普通はこうはいかないと思います。

細田:目的が大きすぎて絶望しているのではないでしょうか。頑張ったって無駄だし、学生のなかでも意識の高い人の足を引っ張る風潮もありますが、大人がそうだから学生も真似するのだと思います。無駄なことをするのであればぬるま湯に漬かっていようというのもあるのではないでしょうか。

田村:そういう発注者である間は施工者としてはどうしようもありませんね。

石田:建設の人は本当に管理の現場で起こっていることを知らないのでしょうか。見ようとしないだけなのか、知らないふりをしているのか。

佐藤:忙しいから見ようとしないのですかね。忙しいは多分言い訳ですが、そうでなくても総合評価の履行確認や協議書類の処理だとか、監督員はやることがいっぱいあります。近隣の方に騒音でうるさいと言われた場合の地元対策など、技術的な課題解決に時間が割けない状況にあるかもしれません。

 実際は技術的なことに興味が持てればすごく面白いので、復興みたいに短期間でたくさんの構造物の立ち会いに行くようになると、職員も短期間でかなり育つのです。面白いと思ってやる人と、そうならない人の差が結構あって、面白いと思ってやる人の数がまだ少ないというのが現状だと思います。

細田:忙しいというのは確かにあって、世の中にはくだらない仕事が多くあり、発注者だけでなくて皆しんどいのだと思います。忙しくない状況に国全体を持っていくということも大事だと思いますが、ほとんどの人は思考停止になった方が楽だと思ってしまう。