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[工期短縮]
ケーブルクレーンを一つに絞り打設期間を3カ月短く

 平瀬ダムの上空には、右岸と左岸を結ぶ15.5t吊りの軌索式ケーブルクレーンが1条張られている。バケットなどを吊り下げ、生コンを堤体の打設場所まで運ぶ際などに使う。

右岸側から見た軌索式ケーブルクレーン。手前の黄色い滑車が上下流方向に移動する(写真:大村 拓也)
右岸側から見た軌索式ケーブルクレーン。手前の黄色い滑車が上下流方向に移動する(写真:大村 拓也)
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 プラントなどがある左岸側に立てた1本の支柱から右岸側までメーンロープを渡す。メーンロープの右岸側の端部には滑車が取り付けられており、右岸側の上下流方向に張られたレールロープを水平移動できるようになっている。左岸側の支柱を頂点、右岸側のレールロープを底辺とする二等辺三角形の範囲をバケットなどが自由に動ける仕組みだ。

 発注当初の計画では、2条のケーブルクレーンを組み合わせる予定だった。一つは、メーンロープの両端とも支柱に取り付けた13.5t吊りの固定式。もう一つは、メーンロープの片端を上下流方向に動けるようにした6.5t吊りの軌索式だ。固定式はコンクリートの運搬、軌索式は資機材の雑運搬にそれぞれ使い分ける。

 ところが、清水建設JVはケーブルクレーンを1条に絞った方が、堤体のコンクリート打設期間を3カ月以上短縮できると判断した。「二つのケーブルクレーンがあっても、必ずしも同時に使えるわけではない。荷振れしてぶつかる恐れがあるからだ」と同JVの平塚所長は話す。

 クレーンが一つしかない場合、コンクリートの運搬と資機材の雑運搬とを時間帯で使い分けるなどの調整が必要になる。それでも「クレーンの吊り能力を高めて打設の効率を上げれば、全体の工程を短縮できる」(平塚所長)とみた。

 ただし、クレーンの能力を引き上げようとすると、既存の規格では21t吊りを選ばざるを得ず、コストが増えてしまう。そこで、清水建設JVは仮設の規模を変えることなく、吊り具の工夫などで13.5t吊りのケーブルクレーンを15.5t吊りに改良した。

 さらに、一般的な鋼材の3倍ほどの強度を持つ耐摩耗鋼板「HARDOX(ハルドックス)」を使ってコンクリートを運搬・打設するバケットを製作した。薄い鋼板でバケットの重さを1.25t軽くし、容量を当初の5m3から5.5m3に増大。1回当たりのコンクリートの運搬能力を10%引き上げることで、750人日の省人化につなげた。

バケットを打設開始当初よりも1.25t軽くすることで、コンクリートの運搬容量を0.5m3増やした(写真:大村 拓也)
バケットを打設開始当初よりも1.25t軽くすることで、コンクリートの運搬容量を0.5m3増やした(写真:大村 拓也)
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[平面図]
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[常用洪水吐き部断面図]
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[下流面図]
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(日経コンストラクション2017年2月13日号掲載)