PR

京都市宇治市、世界遺産の平等院から宇治川の上流へと約2km。風光明媚な景観が残る渓谷に、新白虹(はっこう)橋がこの3月に完成した。日経コンストラクション7月24日号では、自然豊かな景観にいかにして新橋を納めるか、その設計思想やデザインの工夫点を取り上げた(詳細は「渓谷に溶け込む“上弦の橋”」)。ウェブでは、そのデザインを基に実際の形を造り上げた施工者・ピーエス三菱の苦労話をお届けする。

右岸側から見る。計画高水位以上の桁下空間を確保するために橋の垂れ下がり量を抑制した。治水に配慮した工夫が、景観面でも効果を発揮した(写真:生田 将人)
右岸側から見る。計画高水位以上の桁下空間を確保するために橋の垂れ下がり量を抑制した。治水に配慮した工夫が、景観面でも効果を発揮した(写真:生田 将人)
[画像のクリックで拡大表示]

 白虹橋の架け替えは、400mほど上流にある天ケ瀬ダムの再開発事業の一環だ。同事業で新たに建設するトンネル式放流設備の吐口部が旧白虹橋と重なることから、旧橋の約60m下流に新橋を設けた。

 周辺の自然改変を抑えることや、ダムの直下にあること、現道の交通量を確保することなど、様々な制約条件の下で選ばれたのが、吊り床版架設工法を用いたPC(プレストレスト・コンクリート)複合トラス橋だ。橋台がよりコンパクトで済む。

 発注者の国土交通省近畿地方整備局琵琶湖河川事務所工務課の籠谷建太朗建設専門官は、以下のように振り返る。

 「吊り床版架設工法を用いたPC複合トラス橋の採用で、いわば橋台が仮設材としての役割を果たした。白虹橋の架け替えは、上流部で進める天ケ瀬ダムの再開発事業の一環で実施したが、そもそもこのダム工事では自然改変をできるだけなくし、周辺環境になじむ構造物を造ることをコンセプトに掲げている。白虹橋の施工では、背面の市道の既存交通量を確保できたうえに、右岸と左岸の山の地形も変えずに済んだ」。

手前(下流)側から、新白虹橋、旧白虹橋。奥は天ケ瀬ダム(写真:ピーエス三菱)
手前(下流)側から、新白虹橋、旧白虹橋。奥は天ケ瀬ダム(写真:ピーエス三菱)
[画像のクリックで拡大表示]