腹付け工に比べて2割安い

 補強部の施工面積が小さいので、施工の合理化にも結び付きます。前述の工事を実施している時点での日建工学の試算では、開発した工法を用いた補強は、同等の強度を期待できる腹付け工に比べて工費が2割安くなりました。同工法を八戸港で採用する際の検討を進めた国交省仙台港湾空港技術調査事務所でも、同等の評価を下していました。

 工費を安くできるのは、サブプレオフレームにおける水中作業は、枠内に入れる石の表面を整える程度の作業で済み、潜水士による水中作業が少ないからです。

 種を明かしてもらうと簡単な技術に思えますが、この技術に世界の専門家が注目しました。そして、国際航路協会が年に1度授与する若手最優秀論文賞を、日建工学の技術者が獲得したのです。同賞の受賞は、アジアでは初めての快挙でした。

 粘り強い構造という考え方は、海岸堤防にも採用されています。

 国交省東北地方整備局管内で進めた仙台湾南部海岸における堤防復旧工事は、海岸堤防で粘り強い構造を採用した代表例です。29kmの区間にわたる施設のうち、約92%に当たる約26kmの区間の建設を15年9月末時点で終えています。国交省では15年度内の復旧完了を目指しています。

仙台湾南部海岸で進む粘り強い堤防の建設工事の様子。天端ブロックを施工しているところ(写真:大村 拓也)
仙台湾南部海岸で進む粘り強い堤防の建設工事の様子。天端ブロックを施工しているところ(写真:大村 拓也)
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 この海岸堤防は、仙台空港などを津波被害から守るための重要な施設です。そこでこのインフラではいち早く、粘り強い構造の考え方を導入した構造物を構築しました。