津波前の地震にも強い

 一つは盛り土底面にセメント改良れき土を敷く点です。盛り土材の重さの4%に相当するセメントを加えた改良土を、ジオテキスタイルを挟み込んで施工します。底版部の構築によって盛り土本体の剛性を高め、越流時に法尻部が洗掘されても崩壊を防ぎます。

 もう一つは、盛り土を多層にわたって包み込むようにジオテキスタイルを敷き詰める点です。端部に土のうを置いて、ジオテキスタイルで巻き込んで留めます。海側の盛り土表層にはコンクリート壁を施工し、陸側の盛り土表層は簡易な保護工を施します。

鉄道総合技術研究所が開発した津波越流に対して粘り強い構造を持つ盛り土構造(資料:鉄道総合技術研究所)
鉄道総合技術研究所が開発した津波越流に対して粘り強い構造を持つ盛り土構造(資料:鉄道総合技術研究所)
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 この構造によって、盛り土の天端部分などで表面が部分的に津波に浸食されても、ジオテキスタイルの層によって内部の土の流失を防止できます。

 開発した構造を採用することによって、盛り土を急勾配にできるようになります。海側では5分、陸側では1割にできます。従来の勾配は1割5分から1割8分程度を要していました。

 鉄道総研では、実物換算で高さ4mに相当する10分の1サイズの盛り土模型を用いて、900ガルの地震動を加えた後に津波を越流させる実験を行いました。補強を実施していない盛り土では実時間換算で9分ほどで盛り土の半分ほどが崩壊したのに対し、開発した盛り土では損傷がほとんど認められませんでした。