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幹線道とのすり付け時には課題も

 とはいえ、ハンプが万能というわけでもありません。今回、基準で定めたハンプについては、設置延長が比較的長くなるからです。標準的な仕様で設置すれば、長さは6mに達します。

 戸建て住宅が並ぶような生活道路で6mの区間にわたってハンプを設置すると、住宅のガレージを出入りする車と干渉するリスクが出てきます。そのため、ハンプの設置箇所は、交差点が中心となる可能性が高くなります。交差点の間隔が長くなれば、その間でのスピードの抑制効果が低下してしまう恐れがあります。

 国が基準を定めて、安全対策を主導していくという観点から考えると、国道と生活道路が交差する部分は、ハンプなどの設置が進む可能性が高そうです。ただし、ここでも長さは課題になります。

 幹線道路との接続では、幹線道路側に植樹帯があり、その幅が十分であれば、ハンプ設置時に傾斜部の長さを確保しやすくなり、設置は容易になります。しかし、植樹帯が存在しないケースなどでは、傾斜部の角度が大きくなり、単純な形状での設置が困難になります。

 傾斜を急にして無理に接続すれば、自転車などが通行する際の安全性にも不安が出てきます。こうした点は、今後、ハンプの設置を進める際に、歩道の形状などを個別に検討して解決していく必要があるでしょう。

 新たな基準で仕様を定められたハンプや狭さく部といった物理的デバイスのほかにも、生活道路の安全性を高められる有力なツールが生まれてきています。