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 2016年4月に発生した熊本地震では、過去に川が存在した場所などで液状化被害が散見されていました。それよりも前のことですが、液状化現象がもたらした災禍として記憶に残るのは、東日本大震災での千葉県や茨城県での被害です。特に、東京ディズニーランドが立地する千葉県浦安市の被害は大きく、様々なメディアが取り上げました。

 その浦安では液状化の教訓を受けた対策が、震災から5年を経た今も終わっていません。電力やガス、下水道をはじめとした各種インフラの復旧は着実に終焉を迎えているのですが、戸建て住宅が立ち並ぶエリアでの対策はまだこれからなのです。

 対策の実行までにこれだけの長い期間を要した理由は、二つあります。一つは対策として採用する技術の検討、もう一つは地域住民の高いレベルでの合意形成が、それぞれ求められた点です。

 戸建て住宅が並ぶ宅地で市が採用した対策は、宅地と道路を合わせた敷地全体に、液状化対策を施す工事です。既に建物が存在する宅地と道路から成る敷地を格子状に区切って、地下に改良壁を構築するという、世界でも例を見ない手法での補強を行います。

格子状地盤改良の概要。道路部は機械かくはん工法、宅地部は高圧噴射かくはん工法を基本として用いる。道路部でも埋設物が多い箇所などは高圧噴射かくはん工法を使う。宅地部では改良断面を楕円形にして、効率良く壁体を構築できるようにする(資料:浦安市)
格子状地盤改良の概要。道路部は機械かくはん工法、宅地部は高圧噴射かくはん工法を基本として用いる。道路部でも埋設物が多い箇所などは高圧噴射かくはん工法を使う。宅地部では改良断面を楕円形にして、効率良く壁体を構築できるようにする(資料:浦安市)
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 そもそも、液状化現象は地盤を構成する土の粒子とその間にある地下水が地震で揺さぶられることによって、土粒子が地下水に浮かんだような状態になって発生します。そのため、地下水位が高く、地盤が緩い場所で液状化が発生しやすいのです。地盤については、粒径のそろった砂層で起こりやすくなります。湾岸の埋め立て地や旧河川などの地域で被害が大きいのは、こうした条件と合致しやすいからです。

 大きな揺れが起こっても格子状の壁によって地盤を拘束し、せん断変形を抑制して液状化を抑える――。液状化のメカニズムを踏まえて、市が有識者の助言を得ながら、市の地盤条件などに合った対策として練り上げてきました。