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これからは見栄えで勝負

 初回は、建設工事で最も汎用的な材料を扱います。コンクリートです。トンネルや橋、堤防、建物などの構造を支える重要部材をはじめ、コンクリートが使われる用途は極めて広範にわたります。これまでにも、コンクリートでは様々な技術開発が進められてきました。「コンクリート技術はもう成熟したものだ」と、考える人も少なくないでしょう。

 ですが、コンクリートの進化はまだまだ止まっていません。現在の社会ニーズなどを反映した新しい要求性能が生まれており、それらへの対応を図るための開発が、常に進められているからです。

 社会ニーズの変化という点において、近年、コンクリートの要求性能に関して特にクローズアップされている分野が、長寿命化や老朽化対策です。中央自動車道の笹子トンネルで起こった天井板崩落事故を受け、インフラの老朽化問題に対する社会の関心は劇的に変わりました。老朽化に対する国の施策や予算の在り方も大きく変貌しつつあります。

インフラの老朽化の進展を踏まえた各種政策とその概要の一部を抜粋。国土交通省などの資料をもとに日経コンストラクションが作成
インフラの老朽化の進展を踏まえた各種政策とその概要の一部を抜粋。国土交通省などの資料をもとに日経コンストラクションが作成
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 そうしたなか、コンクリート構造物の長期的な性能を担保するための品質管理が新たに注目されています。老朽化の進展がもたらすインフラの劣化を踏まえ、既存施設の延命化に対するニーズが高まっているのです。

 コンクリート構造物の品質を向上させるという視点で新たに注目されているのが、コンクリート表層の仕上がり状態の管理手法です。表層をひび割れなどのない良好な状態に保つことができれば、コンクリート内部への水や塩分などの浸入が減り、結果としてコンクリート構造物の劣化を防げるという考えに基づきます。

 品質管理の手法を築き上げた一例が、鹿島と横浜国立大学の細田暁准教授による取り組みです。両者は脱型したコンクリートの表面を目視して品質を評価する「目視調査に基づく品質管理手法」を開発しました。

 「美しいコンクリートは品質と耐久性が高い」という相関性を踏まえた手法です。「見栄え」を尺度にしながらコンクリートの品質を判定します。この手法を導入した建設現場では、既にコンクリート品質の向上効果を確認できています。