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サンプルと見た目を比較

 現場での品質確認は、次のような手順で進めます。まずは現場の技術者など複数の調査者が、打設したコンクリート表面と下の表に示すようなサンプル画像を目で比べます。

鹿島などが開発したコンクリート表層の性能を目視で判定する際の基準(資料:鹿島)
鹿島などが開発したコンクリート表層の性能を目視で判定する際の基準(資料:鹿島)
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 比較項目は、「表面の色つや」、「沈みひび割れ」、「表面気泡」、「プラスチック収縮ひび割れ」、「砂すじ」、「のろ漏れ」、「打ち重ね線」、「豆板」の8項目。いずれもコンクリートが密実であるか否かを示す仕上がり性状となっています。確認した結果は、色むらや打設時にできる模様などに着目して、グレード別に分類します。

 例えば「表面の色つや」は、S(最優)、A+(優)、A(良)、A-(可)、E(不適合)の計5段階に区分します。「豆板」であれば、有無による2段階、残り6項目はA+からEまでの4段階に分けています。

 グレードはひび割れの幅や範囲などに応じて設定しています。例えば「沈みひび割れ」のA+では、「ピーコン近傍に沈みひび割れがない」、「天端の鉄筋位置以外に幅0.2mm以下のひび割れが発生」といった基準を設けているのです。

 調査者が評価したグレードは点数化します。見た目を点数化するという手法は、見た目の機械的な判定を可能にすることも示唆しています。既にトンネルの覆工コンクリートなどで表層の状態をデジタルカメラで撮影し、その画像解析結果をもとに、仕上がり状態を評価する技術を清水建設や五洋建設が開発しています。

 見た目を評価した点数が低い項目については、次の工程で改善を図ることができます。例えば、「表面の色つや」の点が低ければ、型枠を清掃したり、剥離剤を変更したりといった具合です。こうした評価を部材ごとに行うことで、構造物全体の品質を高めるのです。

 鹿島ではさらに、コンクリート構造物の施工品質と施工条件などとの因果関係のデータ解析を進める手法を取り入れて、成果を上げています。

 分析を進めた一例は、東日本高速道路会社が発注し、千葉県市川市内で施工する「東京外環自動車道国分工事」です。延長約1.8kmの区間にわたって開削工法で地盤を掘削した後に、ボックスカルバート状のコンクリート構造物を建設する現場でした。

東京外環自動車道国分工事で施工したボックスカルバート。同工事の施工は鹿島・大林組JVが担当した(写真:鹿島)
東京外環自動車道国分工事で施工したボックスカルバート。同工事の施工は鹿島・大林組JVが担当した(写真:鹿島)
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 施工条件などのデータとして、コンクリートの性状と運搬、打ち込み、環境という四つの視点から設定した全40項目を取得しました。出荷時と荷下ろし時のスランプやコンクリート温度、空気量のほか、運搬時間や打設量、積算温度などを用いて、目視で評価したコンクリート品質との関連性を確認しています。