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日経コンストラクションが運営するウェブサイトの新連載「丸わかり!建設技術トレンド」。原則として、毎月第1・第3火曜日に記事をオンエアします。同連載では、技術が生まれた社会背景や関連技術などを踏まえ、近年、開発・実用化された技術を体系的に紹介していきます。技術者や経営者の方に役立つ情報発信を目指したコラムです。第4回の連載では、制震技術を取り上げます。

 21年前に阪神地域を襲った阪神淡路大震災。この地震を機に、橋に加わる地震動の考え方が変わりました。設計時に考慮すべき地震動に、発生頻度が極めて低い内陸直下型地震によるものを加えるようにしたのです。現在の道路橋示方書では、重要度の特に高い橋について、そうした極めて大きな地震動に対しても損傷が限定的な水準にとどまり、橋の機能回復が速やかに行えること(耐震性能2)を求めています。

 国が掲げる社会資本整備重点計画では、緊急輸送道路に架かる橋の耐震化率が、目標値として挙げられています。ここでの水準は、道路橋示方書で示す耐震性能2に相当します。国土交通省では、2020年度の耐震化率の目標を81%と設定。13年度に75%だった数字を毎年約1ポイント引き上げる算段です。

 耐震化率を引き上げるペースが緩やかな点からも透けて見えるように、既存橋の耐震改修は簡単な事業ではありません。例えば、供用中の橋には交通対策が要ります。河川内の工事であれば、施工時期や場所、寸法といった制約も大きい。予算も限られています。