インドネシアの首都ジャカルタで、MRT(都市高速鉄道)の建設プロジェクトが着々と進んでいる。円借款をベースに1期事業分の工事が進捗中の「南北線」で、同国初の地下鉄区間を構成する清水建設JVの現場を取材した。施工上の課題に“日本流”のきめ細かさで対応するとともに、工事を通じた現地建設産業への技術移転にも力を入れている。
インドネシアの首都ジャカルタで進行中のMRT建設プロジェクト。中心部を貫く路線「南北線」で、総延長23.8kmに21駅を設ける事業だ。1期事業分の合計延長15.7km(図1)で、土木・建築工事6工区が動いており、いずれも日本の建設会社を幹事会社とする4組のJVが手掛ける。そのほか基本設計や施工監理、車両や運行システムも日本勢が担う注目のプロジェクトだ。
清水建設は、大林組および地元建設会社のWIKA(ウィカ)とJAYA(ジャヤ)とのJVで、同国初の地下鉄区間の一部を設計(実施設計)・施工で担当。目抜き通りであるジェンデラル・スディルマン通りの下に、並行するシールドトンネル2本(内径各6.05m、片道延長2.6km)と4駅(地下2階構造)、高架工区につながる開削区間(合計460m)などを構築する。シールドトンネル工事自体も同国で初めてだ。