混和材は5kgで25ユーロ

――これらの製品の性能は。

 基本的にコンクリートの強度回復については性能を保証していません。しかし、ひび割れを埋めて水の浸入を抑えるという機能回復はできます。例えば、コンクリートに混和材を練り混ぜてつくるタイプの自己治癒コンクリートでは、最大で幅1mmのひび割れまで対応可能です。コンクリート1m3に対して混和材を5kg入れておくと、幅0.4mmまでのひび割れを自己治癒できることを確認しています(写真4)。

写真4■ 粒子状の混和材を入れたコンクリートで、幅1mmのひび割れを自己修復させた様子。時間経過とともに、ひび割れが埋まっている。使用するバクテリアは、欧州の基準で「人への感染がない添加材」の区分に相当するもの(写真:67ページまでデルフト工科大学)
写真4■ 粒子状の混和材を入れたコンクリートで、幅1mmのひび割れを自己修復させた様子。時間経過とともに、ひび割れが埋まっている。使用するバクテリアは、欧州の基準で「人への感染がない添加材」の区分に相当するもの(写真:67ページまでデルフト工科大学)
[画像のクリックで拡大表示]

 液体タイプの材料では直径17cm、厚さ2cmのコンクリートのテストピースに0.2~0.4mmのひび割れを入れ、液体の補修材を施工して、4週間後に漏水の状況を確認してみました。供試体の上部に供給した水量とひび割れからの漏水量を比べて補修された度合いを確認すると、ひび割れの多くが修復され、漏水を抑えていることが分かりました。

 この液体タイプの補修材は、補修工事に要する時間がとても短くて済みます。床であれば4時間で6000m2の範囲を施工可能です(写真5)。

写真5■ 液体の補修材で床面のひび割れを補修する様子。液体の補修材は日本国内で2017年の夏に販売を始める予定。そのほかの材料の国内での発売時期は未定だ(写真:67ページまでデルフト工科大学)
写真5■ 液体の補修材で床面のひび割れを補修する様子。液体の補修材は日本国内で2017年の夏に販売を始める予定。そのほかの材料の国内での発売時期は未定だ(写真:67ページまでデルフト工科大学)
[画像のクリックで拡大表示]

――採算性はいかがですか。

 新設のコンクリートに用いる場合、混和材を加える分のコストは高くなりますが、ひび割れが起こるたびに補修を繰り返すのに比べれば、ライフサイクルコストは抑制できます。

 オランダ国内での製品コストは、生コンクリートの混和材が5kgで22~25ユーロ(約2500~2900円)。液体の補修材は、1m2の補修に必要な材料価格がオランダ国内では4~5ユーロ(約460~580円)です。アジアにも広がりつつあり、韓国や中国、シンガポールなどで、製品の販売などに向けて動いています。