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気仙沼湾の海中に、斜張橋の主塔を支える日本最大級の鋼管矢板井筒基礎を築く。当初案の切り梁支保工を見直し、工場製作して一括架設できるトラス支保工を採用。施工手順を入れ替えて海底を一気に掘り下げ、工程を3カ月短縮した。

写真1■ 気仙沼湾を鋼管矢板で締め切り、塩害対策のため青く塗られたエポキシ樹脂塗装鉄筋を吊り下ろす。ロの字形に組んだ「トラス支保工」で鋼管矢板を支える。切り梁がなく、海の底から空を仰げる。2017年6月撮影(写真:大村 拓也)
写真1■ 気仙沼湾を鋼管矢板で締め切り、塩害対策のため青く塗られたエポキシ樹脂塗装鉄筋を吊り下ろす。ロの字形に組んだ「トラス支保工」で鋼管矢板を支える。切り梁がなく、海の底から空を仰げる。2017年6月撮影(写真:大村 拓也)
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写真2■ ドライアップ直後の17年3月に撮影した鋼管矢板井筒の内部。海面から25m、海底から20mの深さまで掘削した。この後、頂版コンクリートなどの施工を開始した(写真:大村 拓也)
写真2■ ドライアップ直後の17年3月に撮影した鋼管矢板井筒の内部。海面から25m、海底から20mの深さまで掘削した。この後、頂版コンクリートなどの施工を開始した(写真:大村 拓也)
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津波の洗掘に備え海底下20mまで掘削

 テニスコート2面分に当たる東西40m、南北30m、深さ25mの大空間。ぽっかりと開いた空は、ここが海の底であることを忘れさせる。外周の鋼管矢板が水圧や土圧で倒れ込まないように、内部をロの字形の「トラス支保工」で支えている(写真1、2)。

 国土交通省東北地方整備局が宮城県気仙沼市で整備を進める三陸自動車道気仙沼湾横断橋の工事だ。橋長1344mのうち、気仙沼湾をまたぐ海上部に長さ680mの3径間連続鋼斜張橋を架ける。主塔の1つとなるP12橋脚は同橋で唯一、海の中から立ち上がる(図1、2)。

図1 ■ 支保工の比較
[切り梁支保工(当初案)]
[切り梁支保工(当初案)]
(資料:鹿島JV)
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[トラス支保工(設計変更)]
[トラス支保工(設計変更)]
トラス支保工による開口部の大きさは最大26m×16m。橋脚の躯体とは3mほど離れている(資料:鹿島JV)
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図2 ■ 主塔断面図(P12)
図2 ■ 主塔断面図(P12)
長さ47mの鋼管矢板のうち、下側の25mは基礎として、上側の22mは仮締め切りとして機能する。下部工事の範囲は、高さ33.4mの橋脚のうち下側の28.7mまで(資料:鹿島JV)
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気仙沼湾内から見た橋の完成イメージ。左側の主塔がP12橋脚(写真:大村 拓也)
気仙沼湾内から見た橋の完成イメージ。左側の主塔がP12橋脚(写真:大村 拓也)
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 直径1.5mの鋼管矢板を91本打設して締め切り、海底から20m下まで土砂を水中掘削。1、2段目と3、4段目がそれぞれセットになったトラス支保工を1600t吊り起重機船で水中に建て込んだ後、鋼管矢板で囲った内部を排水してドライアップした。鉄筋を組み立て、2017年7月までに厚さ6mの頂版コンクリートの打設を終えた(写真3、4、図3)。

(写真:鹿島JV)
(写真:鹿島JV)
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(写真:鹿島JV)
(写真:鹿島JV)
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写真3■ トラス支保工は16年12月20日と26日に架設した。1月に入ると海が荒れて台船の曳航(えいこう)が難しくなるので、12月中に終える必要があった
(写真:鹿島JV)
(写真:鹿島JV)
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(写真:鹿島JV)
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(写真:鹿島JV)
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(写真:鹿島JV)
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(写真:鹿島JV)
(写真:鹿島JV)
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写真4■ 上2点は10m3級のクラムシェルバケットを使った水中掘削。掘削能力にはまだ余裕があったものの、掘削土の処理能力の面で制約を受けた。トラス支保工は千葉県内の岸壁で組み立てたものを架設した(左下と中央)。陸上にあるP11橋脚は、切り梁支保工を採用(右下)。掘削と同時に外周から土圧を受けるため、海中にあるP12橋脚のように掘削後にトラス支保工を一括架設することはできない
図3 ■ 躯体構築方法の比較(横断面図)
[鋼管矢板打設]
[鋼管矢板打設]
「日」の字に鋼管矢板を91本打設する(2015年9月~16年4月)。その後、鋼管内部にコンクリートを打設(~16年7月)(資料:鹿島JV)
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切り梁支保工(当初案)
[中間杭打設]
[中間杭打設]
海底から約23m下まで中間杭を40本打設する(資料:鹿島JV)
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[切り梁設置・排水]
[切り梁設置・排水]
排水によって、井筒内の水位を低下させながら、切り梁合計4段を設置する(資料:鹿島JV)
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[水中掘削・底盤打設]
[水中掘削・底盤打設]
0.8m3クラムシェルバケットを用いて水中掘削し、水中で底盤コンクリートを打設(資料:鹿島JV)
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[切り梁設置・排水]
[切り梁設置・排水]
排水によって井筒内の水位を低下させながら、切り梁合計4段を設置し、ドライアップする(資料:鹿島JV)
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[頂版打設]
[頂版打設]
頂版コンクリートを打設する(資料:鹿島JV)
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[切り梁盛り替え・橋脚構築]
[切り梁盛り替え・橋脚構築]
切り梁を盛り替えて、不要な切り梁や中間杭を撤去。橋脚の躯体を構築する(資料:鹿島JV)
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[埋め戻し]
[埋め戻し]
井筒内部を海底面まで埋め戻し、切り梁を全て撤去する(資料:鹿島JV)
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[仮締め切り撤去]
[仮締め切り撤去]
井筒内部に注水し、仮締め切り用の鋼管矢板を撤去する(資料:鹿島JV)
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トラス支保工(設計変更)
[水中掘削・底盤打設]
[水中掘削・底盤打設]
10m3クラムシェルバケットを用いて合計1万9700m3を水中掘削する(16年7月~9月)。その後、水中で底盤コンクリートを1970m3打設する(資料:鹿島JV)
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[トラス支保工架設]
[トラス支保工架設]
隔壁鋼管矢板を切断した後、トラス支保工を2回に分けて一括架設する(16年12月)(資料:鹿島JV)
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[排水]
[排水]
鋼管矢板井筒内部を排水してドライアップする(17年1月~3月)(資料:鹿島JV)
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[頂版打設]
[頂版打設]
頂版コンクリートを6060m3打設する(17年6月中旬~7月上旬)(資料:鹿島JV)
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[トラス支保工撤去・橋脚構築]
[トラス支保工撤去・橋脚構築]
3、4段目のトラス支保工を撤去した後、橋脚の躯体を構築する。橋脚は18年3月に上部工事へ引き渡し予定(資料:鹿島JV)
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[埋め戻し・トラス支保工撤去]
[埋め戻し・トラス支保工撤去]
井筒内部を海底面まで埋め戻した後、1、2段目のトラス支保工を撤去する(資料:鹿島JV)
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[仮締め切り撤去]
[仮締め切り撤去]
井筒内部に注水し、仮締め切り用の鋼管矢板を撤去する(資料:鹿島JV)
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 平面が40m×30mの鋼管矢板井筒基礎は日本最大級だ。津波による洗掘を考え、頂版コンクリートの天端高が海底の沖積砂質土層よりも深くなるように計画した。そのため井筒内の掘削土量は約2万m3に上る。