一口にAI(人工知能)といっても、その手法は多岐にわたる。このパートでは、現在のブームをけん引する機械学習、とりわけディープラーニングを中心に、AI活用に必要な基礎知識をQ&A形式でまとめた。

Q1 機械学習、ディープラーニングとは?

 かつてのAIは「ルールベース」と呼ばれる手法を採っていた。

 研究者や技術者がせっせと判断基準やルールを設定し、コンピューターはそれに従って、「もしAならばB」などとデータを分類・判断する仕組みだ。かつて流行した「エキスパートシステム」は、ルールベースのAIに当たる。

 建設分野でも、ルールベースによる工法選定システムなどが盛んに構築された時期があったが、専門家の知識・ノウハウを表現するのが難しく、ほとんど普及しなかった。

 対する機械学習は、コンピューターにデータを入力し、分類方法を自ら学ばせるアプローチだ。

 機械学習の一種である「ニューラルネットワーク」は、人間の脳の神経細胞(ニューロン)のネットワークを単純化してコンピューター上に再現したもの(図1)。

図1 ■ ニューラルネットワークの概念図
図1 ■ ニューラルネットワークの概念図
取材を基に日経コンストラクションが作成
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 人間が何かを学習するとニューロン間の結合が変化するように、学習の過程で結合の強さ(重み)を変化させ、入力したデータに対して正解を出せるようになる。

「見た目」で判断する土木との親和性

 ニューラルネットワークは大きく分けて入力層、中間層(隠れ層)、出力層から成る。この中間層を幾層にも重ねたのが、話題の「ディープラーニング」(深層学習)だ。

 従来の機械学習に比べて高い精度で正解を導き出せることが多いため、土木分野でもインフラの点検・診断などに適用され始めている。

 ディープラーニングにもいくつもの種類がある。このうちCNN(畳み込みニューラルネットワーク)は、画像認識などに適用される最も有名な手法だ。

 土木の工事や維持管理の現場では、「見た目」を基に材料の性状や構造物の品質、損傷状況などを判断する場面が多い。この点で、ディープラーニングによる画像認識は、土木と親和性が高い。