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特集目次ページで紹介したように、AI(人工知能)で課題を解決したいと考える技術者は少なくない。だが、実際にどんなことが実現できるか、よく分からない人も多いだろう。PART3では、AIの活用を考える技術者や経営者に参考になりそうな先行事例を見ていこう。

 AIを活用した維持管理の効率化といえば、ディープラーニング(深層学習)による画像認識を使って、損傷を検出する取り組みが代表的だ。

 検出対象は、本特集のPART1で紹介した舗装のひび割れやポットホールだけではない。道路橋の床版に代表されるコンクリート構造物のひび割れから、地中にできた空洞の位置まで多岐にわたる。

 従来の画像解析技術では誤検出や検出漏れが多く、実務での使い勝手が悪かったコンクリートのひび割れ検出については、AIの活用によって精度が大幅に改善する可能性が出てきた。

 このほか、水力発電ダムや廃棄物発電施設の運転効率化など、画像認識による点検以外でAIの使い道を模索する企業も増えている。

 PART3では、維持管理や施設運営の分野で先行する研究開発の最新動向から、設計の自動化や重機の自動運転に向けた動きまで、多様な事例を紹介する。あなたが仕事で抱える課題を解決するための手掛かりを見つけてほしい。

1. 空洞探査の結果をディープラーニングで診断 川崎地質と富士通、土木管理総合試験所など

 路面下の空洞を見つける地中レーダー探査。地中に向けて電磁波を放射し、反射波の乱れを基に空洞の位置を推定する技術だ。波形の乱れが空洞かどうかは、探査で得られた画像を基に人が判定する(図1)。埋設管との違いを見分けるには、それなりの経験が必要。また、大量の画像から空洞を洗い出すのは手間が掛かる。そこで、AIによる効率化が注目を集めている。

図1 ■ 川崎地質と富士通がディープラーニングで地下の空洞を判別
図1 ■ 川崎地質と富士通がディープラーニングで地下の空洞を判別
上は計測装置。下は探査で得られた画像の例(写真・資料:川崎地質)
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 川崎地質と富士通は、収集した画像と判定結果を基に1万通りの教師データを作成。ディープラーニングで空洞の特徴を学習させた。判定したい画像を学習済みのAIに入力すると、従来の10分の1の時間で空洞を抽出する。土木管理総合試験所(長野市)も空洞の判定にAIを活用する。「診断結果を道路管理者に提供するサービスを2018年春にも始める」(同社の八木澤一哉取締役)。