洪水予測の精度向上にも期待
なぜこれほど設置が進んでいないのか。普及を阻むのがコストの高さだ。機器の内容や設置場所にもよるが、観測所設置には現状で1カ所当たり2000万~4000万円を要する。それが今回の開発で目指すのは100万円台。かなりの低価格になることから、多くの自治体が関心を寄せるのもうなずける。
国交省のウェブ「川の防災情報」によると、直轄河川以外にある水位観測施設は約4500カ所。ただし、これは自治体から許可を受けて掲載している数量だけで偏りがあり、全数は正確に把握できていない。
そこで国交省は、全国の中小河川における今後の水位計需要の調査に乗り出した。11月末をめどに結果をまとめる。未設置の河川以外に、小本川のような複数の設置が必要な河川も浮き彫りになり、数千の単位で新たな水位計の需要が見込めそうだ。
実は水位計の開発は、国管理の河川にも影響を及ぼすとされる。既に水位の観測網は充実している直轄区間ではあるが、「危機管理対応型の水位計が新たに設置されることで、洪水予測の精度も上がる」(国交省河川計画課河川情報企画室の佐渡周子企画専門官)からだ。
河川のどこに水位計を設置すればよいかも新たに検討業務として必要になるため、建設コンサルタント会社の出番も増える。