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 首都高速道路会社は5月25日、土木工学などを専攻する大学生を対象に、インフラの点検と補修の最新技術を実演するイベントを5号池袋線高架下の護国寺補修基地で開催した。留学生9人を含む38人の学生が参加し、点検機器に触れ、最先端の補修技術を見学した。

亀裂の補修工法を体験する学生。工具を両手で支えながらボルトの締め付け具合を調節する(写真:日経コンストラクション)
亀裂の補修工法を体験する学生。工具を両手で支えながらボルトの締め付け具合を調節する(写真:日経コンストラクション)
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打音検査の様子。センサーをコンクリート表面に接触させて、点検用ハンマーでコンクリート表面をたたく(写真:日経コンストラクション)
打音検査の様子。センサーをコンクリート表面に接触させて、点検用ハンマーでコンクリート表面をたたく(写真:日経コンストラクション)
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 このイベントは、学生向けに2008年から毎年開催している「首都高点検・補修デモ」で、今年で11回目。今回は、GIS(地理情報システム)と3次元点群データを活用した道路の維持管理システムや鋼構造物の非破壊検査、ドローン(無人航空機)やAI(人工知能)を用いた点検技術などを披露した。

 参加者は、東京大学や東京工業大学など10大学の学生で、女子学生や留学生も多い。「学校ではこんなに大規模な設備は見られない。作業を実際に見ると、とても分かりやすい」と言って、興味津々の様子で見学した。

 近年、インフラの維持管理の分野でもAIを用いた効率的な手法の開発が進む。デモンストレーションの中で特に新しい技術として注目を集めていたのが「AI打検システム」だ。

 打音検査(打検)は従来、構造物の表面をたたいたときの音の変化を熟練の点検者が聞き分けて、コンクリート内部の空隙を発見する。

熟練点検者の判断をAIに

 開発したシステムは、この熟練点検者の判断をAIに任せる。点検者がハンマーで点検箇所をたたくと、たたいた位置と打音の波形をセンサーが計測。これまでに収集した打音のデータで学習したAIが、異常の度合いを判断する。さらに、異常のある位置を特定したうえで、検査範囲の異常度を色分けした「異常度マップ」をタブレット端末上に表示する。マップを確認することで、熟練の点検者でなくても損傷の見逃しやたたき残しを防げる。

 デモンストレーションでは、コンクリートに接するようにセンサーを設置し、首都高の担当者が近くのコンクリート表面をたたいてみた。すると即座に、担当者が持つ携帯端末に異常が通知された。

 このシステムは産業技術総合研究所と首都高技術、東日本高速道路会社東北支社、ネクスコ・エンジニアリング東北、テクニーが共同で開発している。2年以内に首都高の現場に導入する方針だ。