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 鹿島は、海面に着水して水中を撮影するドローン「SWANS(スワンズ)」を開発した(写真1)。サンゴや地形情報の調査に適用する。水生生物のモニタリングにドローンを用いるのは、業界初の試みだ。

写真1■鹿島が開発した水面浮体型のドローン「SWANS」。着水している状況(写真:鹿島)
写真1■鹿島が開発した水面浮体型のドローン「SWANS」。着水している状況(写真:鹿島)
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 最大時速50km以上で目的地まで飛行し、着水後は水面を移動しながら、水深約2~10mの水中の状況を撮影・計測する(写真2)。約5000m2のサンゴ礁で試験を実施した。

写真2■ドローン着水後の水中画像。一般的なドローンのように上空からの観測だけでは、サンゴの種類や健全性の判別が難しかった(写真:鹿島)
写真2■ドローン着水後の水中画像。一般的なドローンのように上空からの観測だけでは、サンゴの種類や健全性の判別が難しかった(写真:鹿島)
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 SWANSは、ローター部4カ所と中央部に浮力を持たせることで安定した着水を可能にした。機体下部のドームポート内に、動画と静止画を撮影する4Kカメラを搭載し、上空からの俯瞰(ふかん)画像や水中の画像を、GPS(全地球測位システム)の位置情報とともに即時的に伝送・記録する。

 水中画像から、サンゴの分布状況や種類を判別できる。画像と撮影地点の位置情報をデータとして蓄積していくことで、サンゴの生育状況などの継続的な観察が可能になる。

 ドローンには水深を1mm単位で計測できる超音波式のセンサーも搭載している。このセンサーには水温計が付いており、サンゴなどの水生生物の生育状況を評価するのに必要な水深と海水温を併せて計測する。

 サンゴなどが生息する沿岸浅海域の調査では、ダイバーが潜水して目印を設置し、観察や撮影をするのが一般的だ。しかし、この方法では、波などの気象状況に左右されるうえ、広範囲の調査には時間がかかる。岩礁などの障害物が多い所では、船で調査地点に近付くのも容易ではない。

 SWANSを使えば、GPSで位置情報を把握できるため、事前に目印を設置する必要が無い。安全性が高まり、調査時間も大幅に短縮できる。例えば、200~300mのライン上を撮影する場合、ライン引きも含めて従来であれば半日程度かかっていた作業が、1、2時間程度で済む。

 開発したドローンはサンゴ以外にも、二酸化炭素削減効果が期待されるブルーカーボン(海草などにより吸収・固定される炭素)を蓄積するアマモ場や藻場などにも適用可能だ。それらの評価方法としても活用が期待される。

 鹿島は今後、SWANSにpHや濁度、水中の酸素量などを計測するセンサーを追加する予定。海底地形の3次元データ化や、水質や流速などの海洋観測技術への応用も検討している。