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浄化した水を子どもの遊び場に活用

 もう一つ注目すべきは、公園内に新しく設計された5100m2の浄化ビオトープ( Cleansing Biotope)である。

 ビシャン・パーク内に流れるカラン川とビシャン・パーク内の池の2カ所から取水し、植物とバイオ・フィルターを用いて水質を浄化している。

 棚田状にレベル差を変えて配置された浄化ビオトープには、カラン川と池からポンプアップされた水が上から順番に流され、バイオ・フィルターと多様な植物群の組み合わせにより、一日で約64万8000リットルの川の水と860万リットルの池からの水を浄化している。

 ここで浄化された水は子どもの水の遊び場に活用されるほか、半永久的に水が浄化されながら循環し、そして残りの浄化された水はカラン川に流れるようにデザインされている。

 このように、シンガポールではABC-WDGとそれに連動したパイロット・プロジェクトの実践を通じて、建物の屋根や歩行者空間、駐車場、庭から流れ出た雨水が川へ流れ着き、やがてはどこかの家庭のグラス一杯の水になるまでの水循環プロセスを可視化。さらには国民の誰もがこのグリーンインフラを体験し、理解できるようなオープンな環境システムをつくり出そうとしている。

 シンガポールの取り組みは世界中で通用するアプローチであり、国土スケールでグリーンインフラを推進するための一つの優良事例である。市民の誰でもアクセスできる多機能型グリーンインフラのかたちは今後の私たちの想像力と取り組みにかかっている。

※書籍「決定版!グリーンインフラ」から記事を抜粋して再編した。文中の数値や組織名などは取材、掲載当時のもの。第3回は3月2日(木)に掲載する。

決定版!グリーンインフラ

自然の機能を生かした新たなインフラの概念である「グリーンインフラ」。都市から農山漁村まで、土木・建築から環境まであらゆる分野の事例を掲載しています。

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グリーンインフラ研究会では、グリーンインフラの包括的な概念を整理し、各フィールドで様々な活動を実践してきました。本書では国内外の先進事例を紹介するほか、これからのグリーンインフラの将来像やビジネスチャンスにも詳説します。
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