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工事に合わせて流路を変えた

 ところが、工事が始まった1975年の写真では、小川が九州自動車道に沿うように流路が付け替えられたことが読み取れる。盛り土が崩壊したのは、工事前に小川が流れていた場所とほぼ一致する。

1975年撮影の航空写真に一部加筆。九州自動車道の盛り土や橋が姿を現すとともに、小川が付け替えられた(写真:国土地理院)
1975年撮影の航空写真に一部加筆。九州自動車道の盛り土や橋が姿を現すとともに、小川が付け替えられた(写真:国土地理院)
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 川や沢を埋め立てた盛り土が地震で崩壊する被害は、新潟県中越地震や能登半島地震をはじめ、過去に何度も繰り返されてきた。いずれも盛り土の締め固めやせん断補強、排水対策などが不十分だったことが原因とみられる。

2007年の能登半島地震で盛り土が崩れた能登有料道路の横田インターチェンジ付近。谷を盛り土した区間だった(写真:日経アーキテクチュア)
2007年の能登半島地震で盛り土が崩れた能登有料道路の横田インターチェンジ付近。谷を盛り土した区間だった(写真:日経アーキテクチュア)
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 盛り土の被害は橋やトンネルと比べて短期間で復旧しやすいため、耐震対策が遅れがちだ。しかし、幹線道路の通行止めは、被災した住民への生活物資の運搬や復旧工事の大きな妨げとなる。東日本大震災では被害が広範囲に及んだことで、復旧に時間を要した。新設する盛り土はもちろん、既存の盛り土の対策が急務となっている。