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曲げモーメントの作用を考慮せず

 実地検査などを経て会計検査院が指摘したのは2点。

 一つは変位制限構造の設計ミスだ。アンカーバーと鋼板取り付けボルトの位置が離れているので、橋軸直角方向の水平力を受けた際、鋼板に曲げモーメントが作用する。取り付けボルトにも曲げモーメントでせん断力が掛かるわけだが、設計上は水平力によるせん断力のみしか考慮していなかった。

 もう一つは落橋防止構造のミス。鋼板の穴の形状は本来、構造別に異なるのに、全て変位制限構造用だった。また落橋防止構造にも、取り付けボルトに曲げモーメントでせん断力が掛かる。せん断応力度を再度計算すると、変位制限構造12カ所の取り付けボルトに掛かるせん断応力度は1505~4481N/mm2で、許容せん断応力度の300 N/mm2を大幅に超過。落橋防止構造の全16カ所でも15カ所が許容せん断応力度を大きく超えていた。

会計検査院が指摘した変位制限・落橋防止構造の問題点(平面図)。会計検査院の資料をもとに日経コンストラクションが作成
会計検査院が指摘した変位制限・落橋防止構造の問題点(平面図)。会計検査院の資料をもとに日経コンストラクションが作成
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※記事の初出は日経コンストラクション2016年2月8日号。文中の数値や組織名、登場人物の肩書などは取材、掲載当時のものです。第3回は10月11日(火)に掲載します。

単純ミスから偽装・隠蔽まで、設計・施工の現場で起こったトラブルを網羅。原因を分析し、再発を防止するための対策を提示します。

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定価:本体4,600円+税。日経コンストラクション(編)
A4変形判、246ページ
ISBN:978-4-8222-3518-5
商品番号:255710
発行日:2016年9月13日

日経コンストラクションが取材した設計・施工ミスや事故の実例を、橋や道路など構造物別に詳しく解説しました。会計検査の指摘事例も豊富に掲載し、技術者が犯しやすいミスを紹介。従来の常識では想定し得なかった品質トラブルにも焦点を当て、設計・施工の現場に潜む盲点をあぶり出します。 羽田空港の地盤改良工事の偽装なども取り上げ、現場の品質管理の在り方に警鐘を鳴らします。 トラブルを防ぐために現場でできる対策も提示した、実務に役立つ一冊です。[ >詳細・目次一覧