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 横浜市の傾斜マンション問題をきっかけに旭化成建材による杭打ちデータの流用が相次いで明らかになるなか、土木構造物でも偽装が発覚した。山口県は11月4日、8年前に完成したボックスカルバートで、同社が施工した高強度プレストレスト・コンクリート(PHC)杭113本のうち、4本でデータの流用があったことを発表した。

電流計データの流用があった牛野谷川ボックスカルバート。山口県の職員が目視調査をした結果、異状はなかった(写真:山口県)
電流計データの流用があった牛野谷川ボックスカルバート。山口県の職員が目視調査をした結果、異状はなかった(写真:山口県)
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 問題があったのは、06年度から07年度に旭化成建材が杭を施工した2本のボックスカルバートだ。この現場では、アースオーガーで土を掘削した後に、PHC杭を打ち込む工法を採用。オーガーで掘削する際、支持層に到達したかどうかをモーターの電流値で判定する。同社は、4本の杭に同一の電流計データを流用していた。

電流計データを流用した工事の一般図。杭径は35cmと40cm(資料:山口県)
電流計データを流用した工事の一般図。杭径は35cmと40cm(資料:山口県)
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杭3本で流用があった牛野谷川ボックスカルバート。長さ29mと30mの2種類の杭を使用していた(資料:山口県)
杭3本で流用があった牛野谷川ボックスカルバート。長さ29mと30mの2種類の杭を使用していた(資料:山口県)
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杭1本で流用があった愛宕用水路ボックスカルバート。長さ22mと27mの2種類の杭を使用していた(資料:山口県)
杭1本で流用があった愛宕用水路ボックスカルバート。長さ22mと27mの2種類の杭を使用していた(資料:山口県)
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 県は現地で目視調査し、ひび割れや傾きなどの異状がないことを確認している。

 データの流用があったものの、杭が支持層に到達しているかどうかは、明らかになっていない。県が旭化成建材から取り寄せた施工報告書には、地盤調査図が添付してあった。それによると、支持層に急しゅんな勾配や複雑な地層は見られなかったので、一部の杭だけが支持層に到達していない可能性は低い。ただし、万一のことを考え、県はデータを流用した経緯や構造物の安全性の根拠を旭化成建材に求める方針だ。

 同社が杭を施工した県の土木構造物は、該当のボックスカルバート以外に3件あったが、いずれもデータの流用はなかった。

データの流用があった2本のボックスカルバートが交わる箇所の路面。異状はなかった(写真:山口県)
データの流用があった2本のボックスカルバートが交わる箇所の路面。異状はなかった(写真:山口県)
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