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イメージ改善の兆しも

 他方、公共事業が税金の無駄遣いか否かは、一概には肯定も否定もできない。無駄遣いをすべきでないことや無駄遣いをしていないと国民に説明する責任を、国が一頃よりも強く認識していることは確かだろう。昨年12月、国土交通省が土木施設などの整備効果を評価する新手法の検討を始めたと報じた際に、改めてそう思った。

 さらに近年、東日本大震災をはじめとする自然災害の激化によって、防災・減災のための投資がある程度必要なことは、一般社会でも広く認識されつつあるのではないだろうか。

 「環境破壊」についてはどうか。2010年が国際生物多様性年となったことを一つのきっかけとして広まった生物多様性に対する配慮は、一過性の流行に終わることなく土木界に定着している。東日本大震災の発生後は建設関連企業の再生可能エネルギー関連事業への取り組みが盛んになった。したがって、土木界が自然環境や地球環境との親和性を強めていることは認めてよいように思われる。

 こうした土木界での比較的新しい動きが、一般社会でのイメージ改善の兆しであるならば、大学の学科名で土木隠しをやめる動きが始まってもおかしくない。広島工業大学はどのような考えでそうしたのか聞いてみた。

20年ぶりの復活

 広島工大は土木系学科の「都市デザイン工学科」を2016年度に「環境土木工学科」に改称した。1997年に土木工学科を建設工学科に改称して以来、約20年ぶりに「土木工学科」を復活させたことになる。

 その主な理由は、「日本が近年、大規模自然災害を経験したことで、安心で豊かな営みを見据えた社会基盤施設の整備を行うととともに、防災、エネルギー、自然など環境と共生するために必要な技術を持った土木技術者の育成が強く求められているから」(同大学総務部)とのことだった。やはり防災や環境が影響しているのだな、と思った。新学科名での初回の入学試験は、「土木」復活で受験者が減るどころか、前年比で約4割増加したという。「地元の土木業界関係者の間でも歓迎の声が多い」(十河氏)。

 土木界が国民の納める税金で、安全、安心な国民生活のために工事をする以上、一般社会との関係悪化は本来あってはならないと以前から思っている。土木界の入り口である大学などの学科名で「土木」が復活することを、関係改善の動きとして前向きに受け止めたい。