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土木設計は巨匠不在

 翻って土木設計については、少なくとも日本では一般に知られる巨匠やスターはほとんどいない。そもそも土木構造物の設計は整備する官公庁の職員が外注せずに自ら担った時代が長かった。その名残か、現在の主な担い手である建設コンサルタント会社は一般に自社の設計に対する著作権を持たず、担当社員の個人名をアピールすることもないので巨匠が生まれない。たまに土木に関する映画が作られても、民間の設計者が前面に出ることは少ない。

 少子化、人口の減少が進む中で、土木界が設計にも優秀な人材を保持し続けようとするならば、広告塔を務める巨匠、スターを今からでも育成して世に問うべきではないだろうか。

 土木の設計でもル・コルビュジエのような存在が生まれれば、アイリーンのような埋もれた実力者に光が当たる機会も増えるだろう。

2012年に完成した東京ゲートブリッジ(後方の橋)は、土木の設計者にも独創的な造形力が備わっていることを一般社会に印象付けた(写真:日経コンストラクション)
2012年に完成した東京ゲートブリッジ(後方の橋)は、土木の設計者にも独創的な造形力が備わっていることを一般社会に印象付けた(写真:日経コンストラクション)
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関連情報: 映画『ル・コルビュジエとアイリーン 追憶のヴィラ』公式サイト