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「2020年」がターゲットイヤーとして重みを増しています。環境・エネルギー問題、インフラの老朽化、少子高齢化など、多くの課題を抱えながら東京、そして日本はそれらの解決に立ち向かわなければなりません。建築・住宅や社会資本の整備を担う建設業界・住宅業界の役割も、ますます重要になっていきます。2020年に向けては、安全・安心、環境・エネルギー、インフラ維持管理、ICT(情報通信技術)などをキーワードに業界が成長していくと思われます。

今回は、日経BP社建設局が発行する専門誌、日経アーキテクチュア(建築)、日経コンストラクション(土木)、日経ホームビルダー(住宅)の3編集長と、日経BPインフラ総合研究所の上席研究員が、都市づくり、建設業界のあるべき姿を展望します。

  • 日経アーキテクチュア編集長
    畠中 克弘
  • 日経コンストラクション編集長
    野中 賢
  • 日経ホームビルダー編集長
    小原 隆
  • 日経BPインフラ総合研究所 上席研究員
    安達 功

ハード・ソフト技術を総動員して 
東京発“おもてなしの街づくり”を 全国へ

畠中 克弘 日経アーキテクチュア 編集長
畠中 克弘 日経アーキテクチュア 編集長
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畠中 この座談会のテーマは、「2020年に向けた街づくり」です。それは、人を呼び込む「おもてなしの街づくり」であり、同時に「次の世代に引き継ぐ街づくり」を意味します。街づくりの課題として、深刻化するエネルギー・環境問題大地震への備え少子高齢化などが挙げられますが、これらを解決する技術を取り込み、新しい都市のモデルを、まず東京でつくることが重要です。

安達 国の成長戦略でも、2020年をターゲットとして、様々なプロジェクトが動いています。人を呼び込む「おもてなし」という面では、日本への外国人旅行者数は、諸外国に比べてまだまだ少ない。日本再興戦略では2020年の目標として年間2500万人を掲げています。いろいろな人が暮らせるホスピタリティを培わなければなりません。

安全・安心

住民・観光客のために安全性を“見える化”

安達 功 日経BPインフラ総合研究所 上席研究員
安達 功 日経BPインフラ総合研究所 上席研究員
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小原 東京都は「2020年の東京」計画を策定し、「耐震化100パーセントプロジェクト」、「木密地域不燃化10年プロジェクト」などを展開しています。「木密地域不燃化10年プロジェクト」では、2020年までに整備地域内の不燃領域率を70%、同地域内の主要な道路を100%整備する計画です。

 一方、住宅会社では、東日本大震災で発生した液状化現象や斜面崩壊を受けて、地盤に対する意識を改めつつあります。住宅が建つ敷地の地盤に対して、適切な判断をすることで顧客に安心感を与えるという考えから、利害関係のない第三者が地盤を評価する取り組みも始まっています。

安達 ホームインスペクション(住宅診断・住宅検査)も、第三者の客観的な意見が、安心を与える重要なポイントとなっています。2020年には住宅のリフォーム市場は倍増すると予想されます。消費者の安全・安心のためには、耐震性や省エネ性などのラベリング制度の導入が今後、重要です。

畠中 2013年11月に改正耐震改修促進法が施行され、旧耐震基準で建てられた一定規模以上の建物の耐震診断が義務化されました。耐震改修コストが大きいことが建物所有者の重荷となっていますが、様々な支援策が講じられています。

 天井材などの非構造部材の耐震性能も大きな問題となっています。診断方法はオーソライズされておらず、まだ情報が足りない状況です。

 テナントやREIT(リート)の対象となるビルも安全・安心を確保しなければ、リーシングに影響が出ます。建物ごとの情報が不足していて、現状では安全性を判断できません。住民や観光客のために“見える化”してこそ、「おもてなし」となります。都市の安全・安心を高めるためにも、個々の建物から街全体の安全性を改善していく視点が大切です。

野中 地震や津波を想定した防災の考え方として、ソフト面の技術も重要になります。構造物の耐震技術に加えて、災害時の震動の感知や被災状況の周知、あるいは、避難時に土地勘のない観光客を対象としたスマートフォンの利用などが考えられます。こうした技術開発が日本の都市力を向上させることにつながります。

* REIT:リアル・エステート・インベストメント・トラスト(不動産投資信託)