日経不動産マーケット情報トップ編集部発「ここだけの話」 > 記事(前のページ)

まだまだ内容不足、REITのプレスリリース

2006/12/04

 先日、あるREIT(不動産投資信託)の広報を担当するPR会社の訪問を受けた。IT関連の雑誌に在籍していたころPR会社の訪問は日常茶飯事だったが、不動産投資の媒体に移ってからは初めてのこと。特にPR会社を雇うREITの存在は筆者の知る限り始めてで、新鮮な驚きを覚えた。

 PR会社という業種をなじみのない方に説明しておくと、顧客企業の広報担当者に代わってプレスリリースを執筆したり、発表会や取材のアレンジを行う会社のことだ。彼らの業務には、消費者やマスコミの意見を聞いて客観的な立場から企業のブランド戦略を練ったり、新聞社や雑誌社を訪問して記者との関係を維持したりする仕事も含まれる。REITがコストをかけても広報活動に注力する背景には、銘柄ごとの知名度や信頼感が株価にはっきり影響する、今の市場環境に対する認識があるのだろう。

 さて、このPR会社にREITに対する率直な意見を求められた筆者は、日ごろ気になる問題を挙げておいた。物件取得のプレスリリースを読み込むと、その内容の充実度が、投資法人によってかなり異なることに気付かされるのだ。

 REITが新たに物件を取得したとき、投資家が最も知りたい情報は、その物件がどのくらいの利回りをもたらすかだろう。ところがREITによっては、利回りの裏付けとなる過去の稼働実績や想定NOI(純利益)が記載されておらず、リリースだけでは物件取得の正当性を判断できないケースがある。前所有者からの情報開示が十分でない場合や、新築物件の場合などの事情があるならともかく、銘柄によっては一律にプレスリリースからこうした情報を省いてしまう。鑑定評価書の利回りを抜粋して記載するリリースもあるが、本誌の売買事例分析を手がけた経験から見ると、周辺賃料と空室率を正確に反映した数字とは言い難い。新規上場の際の目論見書にはきちんとデータがそろっているのに、こと上場後のリリースとなると情報開示がおろそかになるところもあるようだ。

 知りたい情報をもう一つ挙げるなら、REITが取得したオフィスビルや店舗のテナントの顔触れだ。この情報の開示については、大部分のリリースが不合格と言わざるを得ない。メーンテナントが業績好調な有名企業なのか、そうでないのかで物件の収益安定性に関するリスクは大きく異なる。メーンテナントの賃借面積がビルに占める割合を知らなければ、退去リスクも推し量れない。REITの情報公開を巡っては、利害関係人に関する情報開示などが話題となっているが、こうした点もぜひ改善してほしい。

(本間 純)

日経不動産マーケット情報

ページの先頭へ

日経不動産マーケット情報トップ編集部発「ここだけの話」 > 記事(前のページ)