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最高額の取引でも変化しないREIT株価

2005/09/26

 このところ、不動産投資信託(REIT)による大規模物件の取得が相次いでいる。なかでも、ジャパンリアルエステイト投資法人(JRE)が8月末に約816億円で九段北プロジェクト(仮称)を取得した時には、その高額な取引価格が話題になった。REITが1物件に投資した例としては、最も高額な取引だ。新聞でも「REIT物件最高額」との見出しで報道された。

 この取引によって、JREの投資口の価格(株価)が変動するだろうと注目していた。しかし、JREが取引を公表した8月30日の株価の終値は、前日から140円安い9270円だった。この日は、どのREITも総じて株価が下がっており、JREだけが下がったわけではなかった。翌9月1日は130円高い9400円。結局、最高額の取引と騒がれた割に、株価はほとんど変化しなかった。

 これには、いくつかの理由が考えられる。JREが九段北プロジェクトの引き渡しを受けるのは、完成後の2006年2月だ。まだ稼働していないため、すぐにJREの収益が変わるわけではない。また、九段北プロジェクトの想定NOI(純収益)利回りが3%台と報道されたため、この利回りでは配当金にも影響を与えないと投資家が判断したのかもしれない。ただ、あるREITの運用担当者は「物件の取得を公表してもREITの株価はほとんど変化しない。投資家の関心事は、配当利回りが上がるかどうかだ。配当利回りが上がるとわかれば、株価も上昇する傾向にある」と話す。

 九段北プロジェクトのことは別として、物件の取得がREITの株価に影響を与えないというのは奇妙な気がする。取得した物件によって構成されたポートフォリオを評価して株価が上がったり、あるいは取得した物件の将来性を疑問視して株価が下がったりと、もっと動きがあってもいいはずだ。企業の株価だったら、新製品の発表や企業買収などが公表されれば何らかの動きを見せる。REIT市場では、目先の配当利回りにこだわる投資家もいれば、長期的に安定した収益を得ようという投資家もいる。様々な投資スタンスを持った投資家が集まっている以上、どんな資産を取得したかによってREIT株価が変化することがあって当然だと思うのだが…。。

(徳永 太郎)

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