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最先端オフィスと社内コミュニケーション

2005/09/16

 日本IBMが、企業内の電子メールのやりとりから、社内の部署間の連携や業務の実権の状況など「社内力学」を分析する技術を開発したというニュースを目にした。社内組織の効率的な見直しを支援する狙いがある。電子メールは、社内コミュニケーションツールとして浸透しているだけに、興味深い試みだ。

 社内コミュニケーションといえば、昨年夏のことでやや古くはなるが、ファシリティマネジメントの専門家からこんな話を聞いた。ドイツの大手メーカーの先端的なオフィスを視察したところ、伝統的な個室スタイルからオープンなオフィス空間に移行するのが主流だったそうだ。オープンスペースの方が、社内コミュニケーションの活性化に役立つと考えているからだという。その結果、オフィス総面積は減少傾向にあるらしい。

 日本では、広い空間をパーティションで区切るタイプが一般的だ。プライバシーを守りつつ、コミュニケーションを活性化させるレイアウト方法に、さまざまな知恵が絞られている。個々のオフィスワーカーには、個室空間への憧れが依然として強いように思う。

 オフィスのなかでは、最近、喫煙スペースが隅に追いやられ、狭く閉じられた空間になりつつある。その一方で、喫煙スペースがもっぱら裏の会議室になっているという話もしばしば耳にする。女性トイレと給湯室は、今も昔も社内情報交換の場だ。オフィスビルのIT化や快適性の追求が進み、優れたレイアウトやデザインによって最先端のオフィスが実現しても、喫煙スペースや給湯室は社内コミュニケーションの場として機能し続けるだろう。こうしたコミュニケーションの方が、電子メールよりも本音を出しやすい。冒頭の電子メールを分析する技術も、昔ながらの社内コミュニケーションを通して完成に至ったのではないだろうか。もしかすると、「分析するのは電子メールまでにしておこう」というのが開発者の本音だったかもしれない。

(橋本 郁子=不動産アナリスト)

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