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お詫びの言葉を点検する

2006/10/27

 ミスを犯したいと思う人はいないだろうが、仕事をしていると間違いや不祥事を起こし、顧客や関係者に頭を下げなければならないときがある。今回は、REIT(不動産投資信託)の最近の事例を基に、お詫びの言葉を点検する。

 ○○投資法人は、本日、関東財務局長より業務改善命令を受けました。本件に関しまして、投資家の皆様をはじめ関係者の皆様に多大なご心配とご迷惑をおかけしますことを、深くお詫び申し上げます――。役員会の運営に法令違反があったとして10月20日、エルシーピー投資法人、グローバル・ワン不動産投資法人、ジャパン・ホテル・アンド・リゾート投資法人、トップリート投資法人のREIT4法人は一斉に、代表者名を添えてこのような文書を発表した。

 どれも似たような書き出しだ。調べてみたら、やはり役員会の開催に法令違反があったとして、REITとして初めて行政処分を受けた日本リテールファンド投資法人が、4月28日に同じような文書を出していた。今回、処分を受けた4社は、これに倣ったのだろうか。それはそれで構わないが、マニュアル化された謝罪文は、気持ちがこもっていないように受け取られるから要注意だ。

 「業務改善命令を受けました。本件に関しまして……」というつなぎ方も気にかかる。過去に不祥事を起こした企業のお詫びの文書を読むと、罪そのものを詫びていることが伝わるケースと、事件の発覚を悔いているようにみえるケースの大きく二つに分かれる。先のREITの文章は、改善命令を受けたことを詫びているように感じさせる部分がある。ここは、不適切な役員会の運営があったことを率直に詫びる文章にした方が好ましい。

 テレビの会見でよくみかける「世の中をお騒がせして申し訳ありませんでした」という謝罪も同様だ。騒がせたことではなくて、行為そのものを謝るべきだと思う。言葉では「皆様にご迷惑を……」と言ってるのに、処分を下した当局に頭を下げているんじゃないかと勘ぐりたくなるケースも少なくない。そして、不祥事を起こしたときは、その中身を十分に開示して説明するのが賢明だ。中途半端に情報を出すと、あらぬ疑いをもたれて傷口を大きくすることがある。

 お詫び文ではないが、もう一つの事例を紹介する。この夏に代表者が交代したあるREIT運用会社。ウェブサイトに掲げられた「ごあいさつ」は、代表者の名前を入れ替えただけで中身が以前のままだ。こうした事情を知って読むと、文中の「投資家の皆さまの信頼を得られるよう」「情報開示に積極的に取り組み、透明性の確保に努める」という言葉がむなしく聞こえる。忙しくて後回しになっているのだろうが、投資家にとってウェブサイトは重要な情報源の一つである。新しい代表者が自分の言葉で語ってほしい。

(菅 健彦)

日経不動産マーケット情報

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