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チラシで読み解く不動産投資市場

2005/05/20

 世間には様々な分野でコレクターがいる。私が以前住んでいたマンションの隣人は、熊というか"くまさんグッズ"のコレクターだった。40過ぎのいいおっさんなのだが、「妻よりも大事にしている」と笑顔で言う目の奥が笑っていなかったのを思い出す。かく言う私も2年前からコレクションを始めた。集めているのは、仲介会社が出している収益不動産販売の新聞折り込みチラシである。仲介会社にもらいに行くわけではなく、新聞に折り込まれてくるのを自宅でじっと待つという極めて消極的な方法を取っており、定点観測だとうそぶいている。

 チラシに載った販売物件はExcelの表に入力していく。物件名を明かさずに掲載しているチラシがほとんどなので、様々な角度から調査、分析して物件を特定する。写真や道路付けなどのわずかな手がかりから物件を割り出す作業は、さながら探偵のようである。仕事がらみで始めたことが、最近では半分、趣味のようになってしまった。

 チラシ1枚ではどうということのない情報でも、複数の会社のチラシ情報を時系列で追っていくとみえてくるものがある。最近はチラシの枚数が増え、物件数も増えた。昨年1月~5月にチラシに掲載された1億円以上の物件は189件。今年は5月上旬でそれを上回る194件が販売物件として紹介されている。なお、一つの物件が複数のチラシに載っていても1件と数え、ダブルカウントはしていない。5000万~3億円の物件に混じって、5億円を超えるような高額物件も目立ち始めた。4月のペイオフ解禁や不動産市況の回復による投資需要の拡大を受けて、個人や一般事業会社に対する不動産販売活動が積極化しているようだ。

 不動産投資市場が、(1)海外のリスクマネーによる投資→(2)国内のリスクマネーの参入→(3)安定収益ねらいの内外機関投資家の参加→(4)国内個人投資家の参加、という形ですそ野が広がっていくとすれば、不動産市場は(4)の段階に差しかかっている。日本経済新聞の報道によると、首相の諮問機関である政府税制調査会は5月17日、個人の不動産所得課税の見直しが一番の議題であることを明らかにした。要不要も含めて議論していくという。税負担が軽減されれば、個人の不動産投資意欲は増す。今後、不動産市場は一段の盛り上がりをみせることになりそうだ。

(三上 一大)

日経不動産マーケット情報

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