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ビルの選別条件になるアスベスト

2005/08/05

 これだけ大々的な報道が続くと、どの建物にも危険な状態のアスベストがあるように見えてくる。リスク調査の専門家が「ぼくはビルの解体工事現場があると、迂回して通勤しています」と話すのを聞いて、心配になってきた。昔、建設現場で働いていたときに吸ったかもしれない。

 テナント企業も、この問題を深刻に受け止めているようだ。アスベスト対策工事を手がけるヤシマ工業(本社:杉並区)には、7月だけで約30件、テナント企業からの問い合わせが寄せられたという。米国では、アスベスト問題が勃発して以降、「アスベストのあるビルには入居しない」という内規を設けた企業もあると聞く。地震被害リスクと同様、日本でもアスベストがテナントのビル選別条件の一つになるとみて、どうやら間違いない。

 ビルの所有者や管理者として、真っ先に取り組むべきことは現状把握である。建物にアスベストが使われているのか、いないのか。使われているとしたら吹き付けなのか二次製品なのか。すぐに対策が必要なのか否か。現状がわからなければ判断できないし、問い合わせにも対応できない。あいまいな受け答えはリスクとみなされ、テナント退去のきっかけになる。

 テナント仲介者の中には「あのビルはアスベストがあるから、入居しない方がいいですよ」と、ささやく人も出てくるだろう。いいかげんな情報でテナントが惑わされないように、ビル所有者はアスベストの使用状況を世の中にオープンにするべきだと思う。公共施設の対策を急いで、民間のビルの対策が後回しになってよい理由はどこにもない。

 この問題について伝えたいことはたくさんあるが、まだ整理ができていない。続きは日経不動産マーケット情報の9月号(8月20日発行)で報告する予定だ。

(菅 健彦)

日経不動産マーケット情報

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