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JR西日本の事故からオフィスビルの環境対策を思う

2005/06/10

 4月に起きたJR西日本福知山線の脱線事故で、近隣の住民や企業、学校が懸命の救助にあたったことが報道された。その中の1社、日本スピンドル製造は、工場の操業を停止してまで、社員を救助に向かわせたと聞く。まさしく社長の英断だと思った。この社名を聞いて、以前の出来事がじわじわと思い出されてきた。

 7~8年前だっただろうか、当時の職場の上司から「まあ会ってくれ」といって紹介されたのが、日本スピンドル製造の方だった。夜間の安い電力で冷凍機を運転して製氷し、昼間にその氷を冷房に利用するという氷蓄熱システムの説明をうかがった。オフィスビルの省エネ、温暖化対策として、時代を先取りした商品だったかもしれない。当時は、クールビズなんて思いもしなかった頃である。結局、まっとうな質問をお返しすることもできず、私のささやかな勉強になっただけで、その場は終わってしまった。

 事故を伝えるテレビの映像を通して、社をあげて救助にあたる日本スピンドル製造の社員たちの姿を目にすることができた。その姿と、記憶の中にある氷蓄熱システムの説明にあたった実直そうな技術者の姿勢とが、すっと結びついた。世の中では、温暖化対策のファッションばかりが話題になっているが、その陰では、地道な技術の積み重ねが続けられているのだろう。突発的な事故から、思いがけずにオフィスビルの環境対策へと思いを馳せることになった。

(橋本 郁子=不動産アナリスト)

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