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学校法人にも求められる不動産マネジメントのノウハウ

2005/02/10

 関西大学が、大阪府高槻市の「都市再生緊急整備地区」に30階建ての超高層ビルを建設し、新キャンパスとする構想を発表した。新たに小学校を開設し、幼稚園から大学院、社会人教育までを、同一のキャンパス、つまり超高層ビルで実現しようとするものだ。高等教育機関はまだしも、幼稚園・小学校と超高層ビルとの組み合わせは斬新だ。ビルの防災機能は充実しており、地域に開かれた防災拠点としての役割を併せ持つことも、特徴のひとつとしているらしい。

 東京都心ではここ数年、学校法人によるビル取得や校舎の移転が目立つ。法政大学は、市ケ谷キャンパス周辺のオフィスビルを次々と購入している。2003年には隣接する嘉悦学園の土地・建物も取得した。売却した嘉悦学園は、臨海副都心有明北地区への進出が決まっている。中学・高校が全面移転し、男女共学校として2006年4月に新たなスタートを切る予定だ。

 少子化時代に突入し、学校法人は教育環境の整備に躍起になっている。大学は長きにわたって、「工場(業)等制限法」により、教室の新設・増設が大きく制限されてきた。この規制が2002年にようやく廃止されたことも追い風となっている。今や学校法人は都心ビルの取得者であり、都市再生の中心ともなる事業主体なのだ。

 都心から外に向かって、業務、商業、住宅、教育と棲み分けされてきた時代には、大学はカルチャーセンター的な機能を提供することで、地域貢献を果たしてきた。しかし、複数の機能が集中する現在の都心では、地域とのかかわりはもっと複雑になっている。新しい地域貢献の追求が不可欠だろう。さらに、不動産の取得、建物建設からキャンパス構築、プロパティマネジメントといった一連の土地・建物に関する専門的なノウハウも必要になっている。収益事業への展開も視野に入ってくる。学校法人には一層、経営の手腕が求められている。

(橋本 郁子=不動産アナリスト)

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