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編集部発「ここだけの話」

新規募集から賃料改定交渉に軸足を移すビルオーナー

2007/10/19

 日経不動産マーケット情報が2007年9月に発信したニュース記事の中で最も読まれたのは、オフィス賃料の増額を求めてダヴィンチ・アドバイザーズが新宿マインズタワーのテナントを提訴した記事だった。

 入居テナントに対して周辺相場並みの大幅な賃料増額を求めたことに加えて、契約の更改時期ではなく契約期間中に増額交渉をするというのは、従来の日本のビルオーナーにはなかった動きだ。テナントに対するダヴィンチ・アドバイザーズの強気の姿勢が、不動産関係者の注目を集めたようだ。

 ただ、入居テナントに大幅な賃料増額を求めているのは同社だけではない。最近では、ビルオーナーから20%程度の値上げを要求されるテナントは珍しくなくなっている。これまで大幅な値上げをしてこなかったオーナーから、40%の賃料アップを求められたという企業の例も耳にした。契約期間の途中で増額を求められるケースも、ファンド系のビルオーナーに限らず出てきているようだ。

 あるオフィス仲介業務担当者は、「新規テナントの賃料の上昇には限界がある。賃料水準が上がってベンチマークとなる成約実績ができたところで、ビルオーナーは既存テナントとの増額交渉へと軸足を移している」とみる。大手不動産会社の中には、これまで新規テナントの募集に割いていた人員を、既存テナントとの交渉要員として配置し直したところもある。

 都心のオフィス需給がひっ迫していることから、賃料改定をめぐるビルオーナーとテナントの攻防は当面の間、続きそうだ。1999年の借地借家法改正によって数年前に初めて定期借家契約を結んだオーナーとテナントの間では、再契約がまとまらず、テナントが移転を余儀なくされるケースも増えるだろう。新宿マインズタワーに限らず、賃料改定や再契約をめぐって、これまでにない動きが出てくるのではないかと感じている。

岡 泰子 [日経不動産マーケット情報

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