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オリンピックバブルに沸く中国の“お家”事情

2007/11/05

 北京オリンピック開催を2008年8月に控えた中国で、かつてない住宅ブームが起きている。先日、北京出張の折に聞いた話では、市内の住宅価格は過去2年で2倍に跳ね上がったという。年率10%強の経済成長と、内陸部からの人口流入を背景に、北京、上海など大都市での住宅取得熱は強まるばかりだ。

 天安門から車で20分ほどの場所にある、24時間有人警備付きの住宅地(ゲーテッド・コミュニティー)では、日本円で6000万円相当の戸建て住宅が飛ぶように売れている。これは、市内勤労者の平均年収の100倍に相当する額だ。マンションの賃貸運用利回りは限りなくゼロに近付いており、真か嘘か、「都心物件の価格は投資回収に900年かかる水準」という噂も聞いた。

 半ば投資目的で高級住宅を購入する人が多く、短期転売狙いの買い主も少なくない。持ち家志向の強い中国では賃貸需要がほとんどないため、誰が住む訳でもなく、ただ値上がりを待つだけの住宅がそこら中にある状態だ。なかには「せっかく買った財産を、ただ寝かせるよりはまし」と、新築マンションの購入者が部屋を出稼ぎ労働者の集団に貸し出すケースも後を絶たない。

 筆者はこれを聞いたとき耳を疑ったのだが、こうした“にわか転売屋”たちは、コンクリートの内壁がむき出しのマンションを購入して、そのまま労働者たちに貸し出すらしい。つかの間の住人となった労働者たちは、便器も何もないトイレで、床に空いた下水管の穴に用を足しながら生活するのだという。中国のマンション市場では、購入後に自分好みの内装に仕立てやすい、スケルトン仕様の部屋の方が高く売れるという事情が背景にある。

 上記はあまりに極端な例だが、中国の人々の持ち家志向の強さを聞くと、この過熱ぶりも、少し納得できる気がする。上海など一部の地域では、今でも「家を持っていない男性は結婚できない」と聞く。女性の両親が、婿選びに際して持ち家を要求するのが一般的だからだ。恵まれた家庭の息子は大学入学と同時に家を与えられるが、家が買えないため結婚に踏み切れないカップルも多いという。

 家を買う度胸も甲斐性もない筆者。異国の地で、日本人に生まれた幸せを心から感じた次第である。

本間 純日経不動産マーケット情報

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